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後門
「後門〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
後門の前後の文節・文章を表示しています。該当する13件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「人外魔境」より 著者:小栗虫太郎
」号をおそってくる。船は、あちこちに転針してやっと遁れたが、じつに前門の虎去れば
後門の狼のたとえか……極鯨吹きあげる潮柱のむこうに、ポツリと帆影のようなものを認....
「浮雲」より 著者:二葉亭四迷
処《そこここ》と徘徊《うろつ》き出した。蓋《けだ》し、尋ねようと云う石田の宿所は
後門《うらもん》を抜ければツイ其処では有るが、何分にも胸に燃す修羅苦羅《しゅらく....
「大菩薩峠」より 著者:中里介山
らるべきはずではないのですが、いま言う通り、この場合はまさに、前門熊をふせいで、
後門先生を救わねばならない苦境にいる。 ようやくのことで小猛獣を取って抑えて、....
「大菩薩峠」より 著者:中里介山
人はいかなる場合に、いかなる敵を持つか知れたものではありません。かかる大敵が
後門に迫るとは、神ならぬ身の知る由もなき道庵は、翌日眼覚めると、自室にも、次の間....
「丹下左膳」より 著者:林不忘
しむの期《き》いまだ到《いた》らざる証《あかし》であろうが、前門に雲舞いくだって
後門《こうもん》竜《りゅう》を脱す。
はいる乾雲に出る坤竜。
それはまことに....
「盈虚」より 著者:中島敦
て逃れねばならぬ。諸公子・侍臣等の少数を従え、例の高冠昂尾の愛※を自ら抱いて公は
後門を踰《こ》える。慣れぬこととて足を踏み外して墜ち、したたか股を打ち脚を挫いた....
「桜花を詠める句」より 著者:杉田久女
ては佳句の方で、蕪村の玉藻集にものせられたのかしれぬが(玉藻集は蕪村編ではなく死
後門弟の編輯したものであるとの説もあるが左様なせんさくは茲では一切しない)、これ....
「嘘の効用」より 著者:末弘厳太郎
おそらくは彼らが前門に「概念法学」を打破しえた暁には「公平」と「自由」との要求が
後門よりただちに攻めきたりて彼らを撃つであろう。もしかくのごとくんば、みずからた....
「昭和遊撃隊」より 著者:平田晋策
イオン戦車』群、北には赤旗の大群、南には世界一の大海軍。 昔の人が『前門の虎、
後門の狼』とよんだのは、今の日本の戦略態勢(戦略上のありさま)だ。 しかも、そ....
「奥州における御館藤原氏」より 著者:喜田貞吉
なかったのである。要するに前九・後三の両役ともに、いわゆる前門の虎を防いでこれを
後門の狼に譲り渡したという結果となってしまったのである。ことに清衡は康保年中その....
「三国志」より 著者:吉川英治
めいておりまする」と、奉答した。 帝は、喪心せんばかり驚いて、 「前門には虎、
後門には狼。両賊は朕の身を賭物として、爪牙を研ぎあっている。出ずるも修羅、止まる....
「三国志」より 著者:吉川英治
徳の位置は、実に危険なものに思われてならなかった。 「呂布は前門の虎だし、袁術は
後門の狼にも等しい。その二人に挟まれていては、いつかきっと、そのいずれかに喰われ....
「私本太平記」より 著者:吉川英治
軍のうしろをおびやかしていたのである。――このため義貞は前面の苦戦のうえ、さらに
後門の狼にもそなえを外せず、ついにさいごまで加古川の陣地を払うことができなかった....