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「徒事〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す

徒事の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
虞美人草」より 著者:夏目漱石
揉《も》まれて年々《としどし》に硬くなる。荒海の下は地獄へ底抜けの、行くも帰るも徒事《いたずらごと》では通れない。ただ広海《ひろうみ》の荒魚《あらうお》も、三つ....
彼岸過迄」より 著者:夏目漱石
それを綺麗《きれい》に縒《よ》り始めた。敬太郎はただ手持無沙汰《てもちぶさた》の徒事《いたずら》とばかり思って、別段意にも留《とど》めなかったが、婆さんは丹念に....
行人」より 著者:夏目漱石
時々耳にした。けれども岡田はいっこう気にもとめない様子だったから、おおかたただの徒事《いたずら》だろうと思っていた。すると岡田は高商を卒業して一人で大阪のある保....
大菩薩峠」より 著者:中里介山
様でも知っておきたいと、お松はその道筋を幾度か指で引いてみました。けれどもそれは徒事《いたずらごと》で、お松の力でどうしようというのではありません。自分の力でど....
学者と名誉」より 著者:夏目漱石
比較的価値|所《どころ》か、全く自家の着衣喫飯《ちゃくいきっぱん》と交渉のない、徒事《いたずらごと》の如く見傚《みな》して来た。そうして学士会院の表彰に驚ろいて....
「或る女」についてのノート」より 著者:宮本百合子
。神よ、余の弱きを支へ給へ。余をして汝の卑きながら忠実なる僕たらしめ給へ。若輩は徒事に趨るもの多し。願くば余を其道より引き戻し給へ。余は彼女を恋せず。彼女は依然....
山の手の子」より 著者:水上滝太郎
》を積んでは崩《くず》すような取り止めもない謀略《はかりごと》が幼い胸中に幾度か徒事《あだ》に廻《めぐ》らされたのであったがとうとう何の手段《てだて》をも自分か....
今日の条件」より 著者:豊島与志雄
り方を考えてみる。――週に六日、毎日六時間ばかり、何等かの社会的な生産的な勤労に徒事し、それで生計を立て、その他の時間を、随意に自由に使用する。そして勤労による....
木曽の旅人」より 著者:岡本綺堂
な顔をしていた。「どう考えても黒めが無暗にあの客人に吠えつくのがおかしい。どうも徒事でねえように思われる。試しに一つぶっ放してみようか。」 そう言いながら彼は....
夢は呼び交す」より 著者:蒲原有明
ざとなると、自分のことは棄てておいて、友人や先輩などの死について追想する。それも徒事ではあるまいが、おかしな心理といわざるをえない。ただ思い出すともなく思い出さ....
江戸芸術論」より 著者:永井荷風
ども余は一々これを論別して、北斎の価値を限定せんと欲するものにあらず。これ無用の徒事《とじ》たるのみに非ず、複雑なる北斎の作品に関する複雑なる評論をして更に一層....
西瓜」より 著者:永井荷風
はりこの事を考える。 繁殖を望まずしてその行為をなすは男子の弱点である。無用の徒事である。悪事である。しかし世に徒事の多きは啻《ただ》にこの事のみではない。酒....
炭焼長者譚」より 著者:喜田貞吉
にあったのである。滑稽といおうか、悲惨といおうか、今から思えば形容の辞もない程の徒事ではあるが、試みに某年三月現在のその職員録についてこれを験するに、姓名を明記....
河豚食わぬ非常識」より 著者:北大路魯山人
までの成績が挙がっている。この時安心して天下唯一の美味に親しんでみることは決して徒事ではないと思われるのである。なんでもかでも、海から山から捕えて食べ物となす人....
ファウスト」より 著者:ゲーテヨハン・ヴォルフガング・フォン
に授けた。己の求めたものを 皆授けた。※の中でお前の顔を 己に向けてくれたのも、徒事ではなかった。 美しい自然を領地として己にくれた。 それを感じ、受用する力を....