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徒手
「徒手〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
徒手の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「海に生くる人々」より 著者:葉山嘉樹
あった。それだけなのに、このボイラーが動かず、あのクレインがむなしく待ち、仲仕が
徒手傍観し、本船の出帆がおくれ、チーフメーツは青くならなければならない。 そし....
「人外魔境」より 著者:小栗虫太郎
ら……」 ここで、もはや言うべき言葉もなくなった。ドイツ人が夢想する新極北島を
徒手空拳で実現しようとした折竹の快挙談。氷冥郷をあばく大探検にともなう、国際陰謀....
「大菩薩峠」より 著者:中里介山
い。 その一人の豪傑は、遠目で見たところではなんらの武器を持っていないらしい。
徒手空拳で、つまり拳《こぶし》を振り廻して、片っぱしから悪者どもを撲《なぐ》り散....
「石狩川」より 著者:本庄陸男
の上説こうともしなかった。彼らの関係がぷすッと切れた、そんな気がした。つまりは、
徒手|空拳《くうけん》で動乱のなかに跳びこみ、五体をもって秩序を立てようと奔《は....
「怪塔王」より 著者:海野十三
らんなどと心配しました。 小浜兵曹長は、藁の上からおりて、いつもやりなれている
徒手体操をはじめました。連日の奮闘で、体のふしぶしがいたくてたまりません。しかし....
「日本イデオロギー論」より 著者:戸坂潤
く、そこに盛られた思想や観念をこうして理解するためである。処で何でもがそう簡単に
徒手空拳で理解出来るものではないので、理解の用具を提供するものが実は言葉や文章そ....
「大菩薩峠」より 著者:中里介山
生が、生活の空虚を感じて、人生を悲観している最大なる理由としては、現在の自分が、
徒手遊食の徒に堕しきっているという点にあるらしいのです。前途の旅を急ぐなら急ぐで....
「明治開化 安吾捕物」より 著者:坂口安吾
の練習量に堪えるには平静温厚にして志の逞しい人格を要するものである。 カラテは
徒手空拳、剣に対抗しうるが、これだけはとてもかなわん、というのが一ツある。それが....
「名人地獄」より 著者:国枝史郎
大前田英五郎、国定忠治、小金井小次郎、笹川繁蔵、飯岡助五郎、赤尾林蔵、関八州の博
徒手合いで、彼に恩顧を蒙らないものは、一人もないといってもよい。ある時は高級用心....
「だいこん」より 著者:久生十蘭
こ立ちなんかはどうですか」 「ハンドスタンド……つまり倒立《とうりつ》というのが
徒手体操にありますから、もちろん体育の部類へ入るでしょうね」 あたしは椅子から....
「長崎の鐘」より 著者:永井隆
だ。脚をもがれた蚊のように、はさみを取られた蟹《かに》にも似て、私たちはこれから
徒手空拳、この幾万とも数知れぬ負傷者の前に立たされる。まったくの原始医学だ。この....
「三国志」より 著者:吉川英治
い、夜露の降りるころまで、眼を醒まさなかった。 大丈夫の誓いは結ばれた。しかし
徒手空拳とはまったくこの三人のことだった。しかも志は天下にある。 「さて、どうし....
「三国志」より 著者:吉川英治
、共に快談をまじえた頃、袁紹は河北の富強に拠って、大いに南を図らんといい、自分は
徒手空拳をもって、天下の新人を糾合し、時代の革新を策さんといい、大いに笑ったこと....
「私本太平記」より 著者:吉川英治
「ああ、ここに一軍の手勢を持っていたならば」 と、痛嘆を禁じえない。 だが、
徒手ではどうしようもないのだ。後醍醐へ近づく望みなどはもう思いもよらない。このう....
「それから」より 著者:夏目漱石
ても心配をする程正直ではなかった。ただ三千代の事だけが多少気に掛った。けれども、
徒手《てぶら》で行くのが面白くないんで、そのうちの事と腹の中で料簡を定《さだ》め....