徒費[語句情報] »
徒費
「徒費〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
徒費の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「一円本流行の害毒と其裏面談」より 著者:宮武外骨
る、其三百万冊を小車、自動車、汽車、汽船等に積み卸した労力と時間だけでも少からぬ
徒費ではないか、そして其
徒費のために正当な生産物を輸送する機関に妨害を与えたので....
「恩讐の彼方に」より 著者:菊池寛
でいった。 市九郎は、この紛擾《ふんじょう》が無事に解決が付くと、それによって
徒費した時間がいかにも惜しまれるように、にじりながら洞窟の中へ入っていった。 ....
「野分」より 著者:夏目漱石
、せっかくに築き上げた人格は、築きあげぬ昔と同じく無功力で、築き上げた労力だけを
徒費した訳になる。英語を教え、歴史を教え、ある時は倫理さえ教えたのは、人格の修養....
「渋江抽斎」より 著者:森鴎外
しても、概皆|時尚を追う書估の誅求に応じて筆を走らせたものである。保さんの精力は
徒費せられたといわざることを得ない。そして保さんは自らこれを知っている。畢竟文士....
「駆逐されんとする文人」より 著者:内田魯庵
を或る一定の仕事に割いたなら、五六年間には相当な大きな仕事が出来る。我々は時間を
徒費しつつ電車の恩徳を難有がらなければならんのだ。 ▲そんなら電車に乗ってる間....
「一九四六年の文壇」より 著者:宮本百合子
して、今日一部の文学者は、彼らの壮年の精力を保守反動と客観的には批評される方向に
徒費しているのですが、それというのも、今日日本の民主主義の性質を、しんから会得し....
「大菩薩峠」より 著者:中里介山
禁止されることになった。せっかくの文明の利器がかえって忌《い》まれて、人間労力の
徒費に逆転することになったというわけになるのだが、もう一つ水車禁止の理由には、こ....
「科学に志す人へ」より 著者:寺田寅彦
ない一輪の花を摘んではそのつつましい花冠の中に秘められた喜びを味わうために生涯を
徒費しても惜しいと思わないような「遊蕩児」のために、この取止めもない想い出話が一....
「獄中への手紙」より 著者:宮本百合子
か癒って又つやのいい頭になれたとして、ぐみの頭になったこと、その時季、それを私は
徒費しまいと思って居ります。 大きい石を磨くには巨大な研石がいるのだから、もし....
「「自然」」より 著者:豊島与志雄
吾々の生活のことを顧みる時、天然の美味を変質するために、如何に煩雑な労力がそこに
徒費されているか、更に、変質された人工的な食物を取ることによって、精神的にも肉体....
「妾の半生涯」より 著者:福田英子
野人《でんぷやじん》と共に耒鋤《らいじょ》を執《と》り、貴重の光陰《こういん》を
徒費《とひ》せんこと、如何《いか》にしても口惜しく、また妾の将来とても、到底農家....
「決闘」より 著者:神西清
。救いは結局自分の裡に求めるほかはないのだが、もし見つからなければ、なんで時間を
徒費することがいろう。自殺、それだけだ。……」 馬車の音が聞こえて来た。もう夜....
「日記」より 著者:宮本百合子
も思わない根性には愛素もつきる。すっかり支配され、ために一日、落付かない、いやな
徒費にしなければならないのだ。 八月六日(日曜)晴 九十五 非常な暑気。車にの....
「十日の菊」より 著者:永井荷風
なさぬものとなった。 しかしわたしはこれがために幾多の日子《にっし》と紙料とを
徒費したことを悔《く》いていない。わたしは平生《へいぜい》草稿をつくるに必ず石州....
「俳優への手紙」より 著者:三好十郎
しばしばだ。特に近年、生活と仕事の無理がたたって来て、数日ないしは十数日を病床に
徒費しないで過す月は殆んど一ヶ月もなく、人中に出て活動することに全く耐え得ない程....