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従容
「従容〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
従容の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「二つの道」より 著者:有島武郎
たからである。雲のごとき智者と賢者と聖者と神人とを産み出した歴史のまっただ中に、
従容《しょうよう》として動くことなきハムレットを仰ぐ時、人生の崇高と悲壮とは、深....
「義血侠血」より 著者:泉鏡花
》々たる穏波を截《き》ると異ならざる精神をもって、その職を竭《つ》くすがごとく、
従容《しょうよう》として手綱を操り、競争者に後《おく》れず前《すす》まず、隙《ひ....
「富士」より 著者:岡本かの子
を自由に操縦できないいわれはない。けれども、翁は、 「命終のとき」 といって、
従容とその親猪の牙にかけられて果てた。 初夏五月の頃、富士の嶺の雪が溶け始める....
「自叙伝」より 著者:大杉栄
つけだった。というよりもむしろ、そのはりつけの図に題した、誰だかの「慷慨赴死易、
従容就死難」という文字だった。 「よし、俺も
従容として死に就いて見せる。」 僕....
「茶の本」より 著者:岡倉覚三
話を思い起させる。ある日荘子友と濠梁のほとりに遊んだ。荘子いわく「※魚いで遊びて
従容たり。これ魚の楽しむなり。」と。その友彼に答えていわく「子は魚にあらず。いず....
「天守物語」より 著者:泉鏡花
合わす。かくて一同を追込み、揚幕際に扇を揚げ、屹と天守を仰ぐ。 鐘の音。 夫人、
従容として座に返る。図書、手探りつつもとの切穴を捜る。(間)その切穴に没す。しば....
「海神別荘」より 著者:泉鏡花
。私は鱗をもって、角をもって、爪をもって愛するんだ。……鎧は脱ぐまい、と思う。(
従容として椅子に戻る。) 美女 (起直り、会釈す)……父へ、海の幸をお授け下さい....
「革鞄の怪」より 著者:泉鏡花
段が願いたい。 お聴を煩らわしました。――別に申す事はありません。」 彼は、
従容として席に復した。が、あまたたび額の汗を拭った。汗は氷のごとく冷たかろう、と....
「第二菎蒻本」より 著者:泉鏡花
、はっと肩を抱いた。 「お祖母さん、どうして今頃御経を誦むの。」 慌てた孫に、
従容として見向いて、珠数を片手に、 「あのう、今しがた私が夢にの、美しい女の人が....
「白金之絵図」より 著者:泉鏡花
べば楽なものじゃ――我は化けたと思えども、人はいかに見るやらん。」 と半眼に、
従容として口誦して、 「あれ、あの意気が大事じゃよ。」 と、頭を垂れて、ハッと....
「悪獣篇」より 著者:泉鏡花
下さらん。」 顔を見合わせ、打頷き、 「むむ、成程、」 と腕を解いて、廉平は
従容として居直った。 「成程、そうじゃ。貴女ほどのお方が、かかる恥辱をお受けなさ....
「久米正雄」より 著者:芥川竜之介
本来の素質に鍛錬を加えた、大いなる才人の強気しか見えない。更に又杯盤狼藉の間に、
従容迫らない態度などは何とはなしに心憎いものがある。いつも人生を薔薇色の光りに仄....
「ドーヴィル物語」より 著者:岡本かの子
め食堂関係者等の慇懃な態度――彼等のその態度にはまったく皮肉も狡さも無い。極めて
従容とした自然な態度だ。如何にフランス人が客商売に適して居るかが分る。 ダンス....
「活人形」より 著者:泉鏡花
うない、言とうない。さあお殺し。と口にて衣紋を引合わせ、縛られたるまま合掌して、
従容として心中に観音の御名を念じける。 その時得三は袖を掲げて、雪より白き下枝....
「仏教人生読本」より 著者:岡本かの子
もそうではありません。悲観の極は例の弾機仕掛けに弾ね上げられ、人生を見直し出した
従容たる態度の歌であります。蕭条たる秋風に鎗を立てて微笑む鹿之助の顔が眼に泛ぶの....