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御情
「御情〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
御情の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「霊界通信 小桜姫物語」より 著者:浅野和三郎
は、火焔の中に立ちながらも、しきりに姫の身の上を案じわびられたそうで、その忝ない
御情意はよほど深く姫の胸にしみ込んで居るらしく、こちらの世界に引移って、最う千|....
「草迷宮」より 著者:泉鏡花
、魔界の塵にも曇りはせねば、我が袖、鏡と御覧ぜよ。今、この瞳に宿れる雫は、母君の
御情の露を取次ぎ参らする、乳の滴ぞ、と袂を傾け、差寄せて、差俯き、はらはらと落涙....
「雪たたき」より 著者:幸田露伴
い。いやと申したら、いやでござる。」 客は復び涙の眼になった。 「余りと申せば
御情無い。其品を御持になったればとて其方様には何の利得のあるでも無く、此方には人....
「「平家物語」ぬきほ(言文一致訳)」より 著者:作者不詳
とうか三位の中将殿が都に御出になるのももう一日二日だとかきいて居りました。どうか
御情で御ゆるし下さってもう一度御目にかかりたいと思って居るんですがいかがでござい....
「菊模様皿山奇談」より 著者:三遊亭円朝
心得だ、上から下された水飴というものは一通りならんと、梅の御殿様の思召すところは
御情合で、態々仰附けられた水飴を何で左様な事をいたした」 富「お毒でございますか....
「蒲団」より 著者:田山花袋
目な恋の証人とも保護者ともなって下さるということを話しましたところ、非常に先生の
御情に感激しまして、感謝の涙に暮れました次第で御座います。 田中は私の余りに狼狽....
「大菩薩峠」より 著者:中里介山
でになる道中におきまして、毎日、日課として、こまごまとお文をお書きあそばしたあの
御情合……」 一学は声をつまらせてしまいました。しかし、駒井甚三郎は感情に制せ....
「大菩薩峠」より 著者:中里介山
のる。隣国の家に泊り合はせし人これを聞き、さては江田源蔵殿なるか、我こそ義経卿の
御情を受けし静《しづか》と申すもの也、君の御後をしたひ、是まで来りしが、附添ひし....
「永日小品」より 著者:夏目漱石
、一二度雑誌へ周旋した事がある。けれども、それは、ただ編輯者《へんしゅうしゃ》の
御情《おなさけ》で誌上にあらわれただけで、一銭の稿料にもならなかったらしい。自分....
「坑夫」より 著者:夏目漱石
、さっきから案内の初さんの方で、だいぶ御機嫌《ごきげん》が好いので、相手の寛大な
御情《おなさけ》につけ上って、奮発の箍《たが》がしだいしだいに緩《ゆる》んだのも....
「吾輩は猫である」より 著者:夏目漱石
暮さなくてもの事だ。羊の御厄介になったり、蚕《かいこ》の御世話になったり、綿畠の
御情《おなさ》けさえ受けるに至っては贅沢《ぜいたく》は無能の結果だと断言しても好....
「十二支考」より 著者:南方熊楠
某《それがし》そんな辛い目をして五十年も長らえるはいかにも情けない。どうか特別の
御情けで二十年だけ差し引いていただきたいと、その時強慾の人間差し出て、さほど好ま....
「源氏物語」より 著者:紫式部
奥様はなんといっても以前ほどの御|寵愛にあっていられなくなるであろう。少しは院の
御情が薄らぐはずだ」 こんなふうにも言ったものであるが、実際は以前に増して院が....
「斬られたさに」より 著者:夢野久作
どと仰せられては痛み入りまする……平に平に……」 「……それでは、あの……余りに
御情のう……おなじ御方角に参りまする者を……」 「申訳御座らぬが、お許し下されい....
「白くれない」より 著者:夢野久作
れ其男に近づきて慇懃に笠を傾け、これは是れ山路に踏み迷ひたる六部也。あはれ一飯の
御情に預り、御本堂への御つとめ許し賜はらば格別の御|利益たるべしと、念珠、殊勝|....