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「御詠歌〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す

御詠歌の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
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旧主人」より 著者:島崎藤村
ります」 「まあ、遠方ですねえ」 「わしらの方は皆こうして流しますでござります。御詠歌は西国三十三番の札所《ふだしょ》々々を読みましてなア」 「どっちの方から来....
わが町」より 著者:織田作之助
吉の死骸は和やかであった。 羅宇しかえ屋の婆さんがくやみに来て、他吉の胸の上で御詠歌の鈴を鳴らし、 「他あやん、良えとこイ行きなはれや」 と、言うと、君枝は....
千曲川のスケッチ」より 著者:島崎藤村
穿いた、旅窶れのした女の乞食姿にも、心を引かれる。巡礼は鈴を振って、哀れげな声で御詠歌を歌った。私は家のものと一緒に、その女らしい調子を聞いた後で、五厘銅貨一つ....
骸骨の黒穂」より 著者:夢野久作
男も交っていた。 お客の居ない時なんぞは、母子連れの巡礼か何かに、何度も何度も御詠歌を唱わせて、上口に腰をかけたまま聞き惚れているような事がよくあった。そのう....
敵討札所の霊験」より 著者:三遊亭円朝
。と見ると、是も同じ扮装の若衆頭、白い脚半に甲掛草鞋笈摺を肩に掛け、柄杓を持って御詠歌を唄って巡礼に御報謝を…はてな彼の人も一人で流している、私は随分今まで諸方....
大菩薩峠」より 著者:中里介山
いになりました。極楽の御法《みのり》の舟に乗りたくば、胸の塵をばよっく鎮めよ、と御詠歌の歌にもございます。すべて舟というものはめでたいものでございますが、特に到....
溺るるもの」より 著者:豊島与志雄
通った。ヴァイオリンの俗謡が響いた。夜分は、客を呼ぶ女の声が聞えることもあった。御詠歌をうたって軒毎に報捨を乞う遍路姿の娘の、哀れな鈴の音が鳴ることもあった。 ....
光り合ういのち」より 著者:倉田百三
ぶ店々。麗衣の人や、漁民の群れ、近郷の農夫たちのおびただしい雑沓。その間を縫うて御詠歌講中の行列。 私は伯母につれられて本堂に上り、特にゆるされて庫裡の方へま....
四国遍路日記」より 著者:種田山頭火
また十二時――二時、市内行乞、五十二銭の銭と八合の米を貰って帰って来た。 毎夜、御詠歌の稽古が熱心につづけられる、御詠歌というものはいろいろの派があるけれど、所....
わが寄席青春録」より 著者:正岡容
、この歓迎会の余興に来て「高砂や」を演り、いまだ前の謡のけいこの内に突如終わりの御詠歌をうたい出し「親類一同が婚礼に御容赦」と落ちを言ってさっさと下りて行ってし....
白花の朝顔」より 著者:泉鏡花
いに、児ヶ|淵を抜けて、音羽山|清水へ、お参りをしたばかりだ、というと、まるで、御詠歌はんどすな、ほ、ほ、ほ、と笑う。 路之助が、 (その癖、お絹さん、お前さ....
粟田口霑笛竹(澤紫ゆかりの咲分)」より 著者:三遊亭円朝
成ったのを掛け、草鞋を穿き、余程旅慣れた姿の汚ない姿で、三十三番の内美濃の谷組の御詠歌を唄ってまいりましたが、巡礼の御詠歌を唄うは憐れなものでございまする。する....
性に眼覚める頃」より 著者:室生犀星
はいた女連れのなかに、若い娘だちも雑っていた。それらの連中が観音さんのお堂の前で御詠歌を誦んで去ると、賑やかで寂しい一と頻りの騒ぎが済んだあとゆえ、ことに秋らし....
わが町」より 著者:織田作之助
、初枝がそれを覗いていた。 羅宇しかえ屋の婆さんがくやみに来て、他吉の胸の上で御詠歌の鈴を鳴らし、 「他あやん、良えとこイ行きなはれや。」 と、言うと、君枝....
むかでの跫音」より 著者:大倉燁子
さんは突然しゃんと体を起し、合掌しながら、それは朗らかな、清く澄んだ美しい声で、御詠歌を唄い出したのです。 いままでは、おやとたのみし、おいづるを、ぬぎておさむ....