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「復員〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す

復員の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
土曜夫人」より 著者:織田作之助
手は私の勤務先の手当や、子供の貯金まですっかり消費してしまい、終戦となるや、私の復員をおそれて無籍の嬰児を連れたまま行方をくらましてしまいました。妻も今では、捨....
世相」より 著者:織田作之助
ある。…… そんな不義理をしていたのだが、しかし寒そうに顫えている横堀の哀れな復員姿を見ると、腹を立てる前に感覚的な同情が先立って、中へ入れたのだ。横堀の身な....
海野十三敗戦日記」より 著者:海野十三
うるさきことである。もっと高空を飛んだらよかろうに。屋根すれすれを飛び居る。 ◯復員兵が厖大なる物資を担って町に氾らんしている。いやですねえという話。それをきい....
灰色の記憶」より 著者:久坂葉子
るはずがない位みにくい容貌であり滑稽なほど間抜けてもいた。皆がさわぎたてるのは、復員して帰店した二十七八の社員や、ふっくらした赤ら顔の少年達であったから。私は、....
出家物語」より 著者:坂口安吾
いか」 「あれは気持の間違いですもの。それに公報はきたけれど、公報のあとに本人が復員することも屡々あるそうですもの。だから、夫を待ってるわ」 「それは済まなかっ....
アンゴウ」より 著者:坂口安吾
然し、浮気心のない人間は存在せず、その可能性をもたない人は有り得ない。 矢島が復員してみると、タカ子は失明して実家にいた。自宅に直撃をうけ、その場に失明して倒....
呉清源」より 著者:坂口安吾
自分一方の流儀のみ、他人の思惑などは顧慮するところがない。 将棋の升田八段は、復員服(呉八段は国民服)に兵隊靴、リュックをかついで勝負に上京、傲岸不屈、人を人....
スポーツ・文学・政治」より 著者:坂口安吾
な関心があるからね。政治が入ってくると身近なものがなくなるんだ…… 今ボクは「復員殺人事件」と云うのを書いてるが、あれは気狂病院にいるとき考えた。登場人物は、....
火の扉」より 著者:岸田国士
をした。 この若い衆は市ノ瀬牧人という農業会の指導部にいる男で、ついせんだつて復員したばかりである。以前から学校へ時どき遊びに来るので顔見知りになつている程度....
この握りめし」より 著者:岸田国士
増田健次は復員すると間もなく警察官を志願し、今ではもう制服も身についた一人前の駐在さんにな....
光は影を」より 著者:岸田国士
。 「背広一と揃いと外套がほしいんだ。ちよつと見せてくれ」 「おや、あんたはん、復員とちがいまつか」 「お察しのとおり。だから、早くこのボロ服を脱いじまいたいん....
可能性の文学」より 著者:織田作之助
か読んだこともない、阿部定を妾にしていた天ぷら屋の主人も、「十銭芸者」の原稿も、復員軍人の話も、酒場のマダムも、あの中に出て来る「私」もみんな虚構だと、くどくど....
昨日・今日・明日」より 著者:織田作之助
はいつも何々しようとした途端に、必ず際どい所で故障がはいるんだ」 と、呟いた。復員列車といおうか、買い出し列車といおうか、汽車は震災当時の避難列車を思わせるよ....
夜光虫」より 著者:織田作之助
わぬ裸から、想像できるのは、わずかに辻強盗ぐらいなものだった。 小沢は外地から復員して、今夜やっと故郷の大阪へ帰って来たばかしだが、終戦後の都会や近郊の辻強盗....
押しかけ女房」より 著者:伊藤永之介
雨があつたのか、シツトリと湿つている家の前庭を、三毛猫が音もなく横切つて行つた。復員兵の多くは佐世保近くの上陸地から自家に電報を打つたが、佐太郎は神経痛で足の不....