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微動
「微動〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
微動の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「地球発狂事件」より 著者:海野十三
聞く者はなかった。団長ワーナー博士は胸に下っている小さい送話器を握りしめたまま、
微動もしなかった。この送話器は、船橋に通じていて、もし本船の安全を脅《おびやか》....
「深夜の市長」より 著者:海野十三
ら、その部屋のリノリウムの床の上にトンと足を載せたのにもかかわらず、かの速水氏は
微動だにしなかった。真逆、器械に向って、立ちながら居睡りをしているわけでもあるま....
「蠅男」より 著者:海野十三
りませんか」 帆村は、また一つ希望を失った。 だが根本によこたわる彼の信念は
微動もしなかった。蠅男の兇刃に斃れた鴨下ドクトル、それから富豪玉屋総一郎、最近に....
「母子叙情」より 著者:岡本かの子
いシャンデリヤの仄白い光は、人いきれで乳白に淀んでいた。植木鉢の棕櫚の葉が絶えず
微動している。押し合って移って行く見物の列から離れて、室内には三々五々塊を作って....
「黒死館殺人事件」より 著者:小栗虫太郎
と、そこに何か脈絡でもあるのかな」と小首を傾げながら、試みに扉を押したが、それは
微動さえもしなかった。
「尻込みすることはない。こうなれば、叩き破るまでのことさ....
「怪星ガン」より 著者:海野十三
やましいなあ」 といったが、帆村は笑いもせず怒りもせず、無神経な顔つきで、首を
微動もさせなかった。 「それではこれから三名にでかけてもらおう。なにかお土産を持....
「火星探険」より 著者:海野十三
うな》って、重力装置は働きだした。宇宙艇はぴったりと大地に吸いついた。だからもう
微動もしなくなった。 火星人たちの送って来る風が一段と烈しさを加えた。 だが....
「地獄の使者」より 著者:海野十三
の考えから変ったことはありません。もちろん裁判医が何と鑑定をしようと、私の考えは
微動もしませんです」 と、強い自信を奇声に托して宣言した。 「死因のピストル説....
「千早館の迷路」より 著者:海野十三
葉が散らしてあったが、それを握って廻してみたり、引いたり押したりしてみたが、扉は
微動だにせず、ここから入ることの困難なることを示した。帆村は把手から手を放してか....
「二、〇〇〇年戦争」より 著者:海野十三
ギン国軍にとって、最も大きな痛手であった程度で、地下にあるマイカ大要塞の防禦力は
微動だにしなかった。 そのうえ、高射砲の砲弾は、刻一刻猛烈さを加えていった。鳩....
「取舵」より 著者:泉鏡花
。 疑うべき静穏! 異むべき安恬! 名だたる親不知の荒磯に差懸りたるに、船体は
微動だにせずして、畳の上を行くがごとくなりき。これあるいはやがて起らんずる天変の....
「兄妹」より 著者:岡本かの子
僕達のために感動するだろうか。恐らくそのために、あの樹の枝の若葉の一つだって風に
微動する程にも感動しないだろう。(自然が人間に対する無関心はツルゲニエフの猟人日....
「沼畔小話集」より 著者:犬田卯
ぞっとしたという。 自然人 お寺の門のところにどっかと胡座をかいた、
微動だもせぬ、木像の安置せられたような彼――いかなる名匠の鑿をもってしても、かか....
「妖怪談」より 著者:井上円了
普通、三本足のテーブルを用います。しかして、その構造は極めて動きやすく、いかなる
微動もこれを感受し得るように、まず四つ脚をさって、特に三脚を用いるのであります。....
「西航日録」より 著者:井上円了
汽船は若狭丸と号し、六千二百六十トンの大船なり。晩来風浪少しく起こり、船体ために
微動せるも、かえって催眠の媒介となり、遠灘七十三里は一夢のうちに過ぎ去り、暁窓近....