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微温的
「微温的〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
微温的の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「散華」より 著者:太宰治
どろになるたちなので、その時にも、「立派な言葉」を一つも送る事が出来ず、すこぶる
微温的な返辞ばかり書いて出していた。 からだが丈夫になってから、三田君は、三田....
「伸子」より 著者:宮本百合子
さない。――多計代は、もちろん結局妥協するしかないのを知っているが、夫――佐々の
微温的態度もはがゆし、佃のさっくりしない心持も不快、自分が本気になれない焦立たし....
「不尽の高根」より 著者:小島烏水
Sketches 第二輯、一八七六年刊)。氷河のない富士山は破壊力においてすら
微温的であるから、時に雪なだれで森林を決壊し、薙ぎを作ることはあっても、現に今度....
「文学上の復古的提唱に対して」より 著者:宮本百合子
どころを見失った文学の懐古的態度として現れたのであったが、時代の急激なテムポは、
微温的な懐古調を、昨今は、花見る人の長刀的こわもてのものにし、古典文学で今日の文....
「今日の日本の文化問題」より 著者:宮本百合子
されなければならない。 これらの弱点を改革しようとする学界からの希望と文部省が
微温的に改革を遂行しようとする意図が合致して一九四六年吉田内閣当時に学術組織改組....
「現代日本の思想対立」より 著者:戸坂潤
得て機関説批判の時局講演会をやったという。三日にはすでに明倫会が、政府の声明書の
微温的なのを慊《あきた》らぬものとして、一木枢府議長の引退を希望するという態度を....
「源氏物語」より 著者:紫式部
女のほうでは真心からの恋とは認めていないのであるから、うるさがるふうは見せずに、
微温的に扱った返事だけは時々出していた。 秋がふけてゆくにしたがって八の宮は健....
「ひと吾を公式主義者と呼ぶ」より 著者:戸坂潤
で、大抵は隙だらけの特徴づけに終らざるを得ない。既成の言葉がアダ名となるのはやや
微温的に過ぎるのであって、寧ろアダ名が自称となる位いでなくてはならぬ。「印象主義....
「「紋章」の「私」」より 著者:豊島与志雄
る。そして茲では、貧窮と迫害のうちにも戦い続けていく雁金の生活相や、徒食している
微温的な久内の生活相や、敦子や初子の生活意識など、そんなものよりもむしろ、単に二....
「ジャン・クリストフ」より 著者:豊島与志雄
めにあきらめたやり方、などを彼は作の中に感じた。平坦《へいたん》で簡単で穏やかで
微温的な朗詠法に、心ひかれないでもなかったが、しかしどうも単調なように思われ、ド....
「ジャン・クリストフ」より 著者:豊島与志雄
らず知らず創《つく》り出すその小さな世界から、シャルダン風の空気が発散していた。
微温的な沈黙。習慣的な仕事に気を向けてる――(やや麻痺《まひ》されてる)――態度....
「レ・ミゼラブル」より 著者:豊島与志雄
さを公布し減退させること、圭角《けいかく》を削り爪牙《そうが》を切ること、勝利を
微温的たらしむること、正義に衣を被《き》せること、巨人たる民衆にすみやかに寝間着....
「墓地展望亭」より 著者:久生十蘭
た。しかし、当然あるべき第二撃を行わなかった。紛擾をある程度でとどめて置きたい、
微温的な感情が、それを躊躇させたのです。われわれが二度目の攻撃的攻撃に移ろうかど....
「三国志」より 著者:吉川英治
立っていない。こらえるとか、堪忍とか、二人はいっているが、彼自身は、生来の性質が
微温的にできているのか、実際、朱雋の命令にしてもそう無礼とも無理とも思えないし、....
「木綿以前の事」より 著者:柳田国男
な片隅に入って、文芸によって静かに性情を養って、一生を送っていたのである。こんな
微温的なる人生の観察者の、少しも出ないですむような時代を、実現させることは我々の....