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微茫
「微茫〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
微茫の前後の文節・文章を表示しています。該当する8件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「虞美人草」より 著者:夏目漱石
れの茶の廂《ひさし》の下から、深き眉《まゆ》を動かしながら、見上げる頭の上には、
微茫《かすか》なる春の空の、底までも藍《あい》を漂わして、吹けば揺《うご》くかと....
「京に着ける夕」より 著者:夏目漱石
て、明《あきら》かならぬ夜《よる》の色をゆかしきもののように、遠く眼《まなこ》を
微茫《びぼう》の底に放って、幾点の紅灯《こうとう》に夢のごとく柔《やわら》かなる....
「小説 不如帰 」より 著者:徳冨蘆花
行くえを目送れば、大檣の上高く星を散らせる秋の夜の空は湛えて、月に淡き銀河一道、
微茫として白く海より海に流れ入る。 * 月は三たびかわりぬ。武男....
「潜航艇「鷹の城」」より 著者:小栗虫太郎
視することしばしであった。 飛沫のなかを、消えあるいは点いて……闇の海上をゆく
微茫たる光があった。その頃は、小雨が太まってき長濤がたかく、舳は水に没して、両舷....
「大鵬のゆくえ」より 著者:国枝史郎
の馬子の唄に、ハッと驚いて眼を覚すと紋太郎は急いで刎ね起きた。雨戸の隙から明けの
微茫が蒼く仄々と射している。 その時|使女が障子をあけた。 「もうお目覚めでご....
「少年連盟」より 著者:佐藤紅緑
はゴルドンらしい、大きな声でさけんでいるのはサービスだろうか。それすらもう水煙|
微茫の間に見えなくなって、オークランド岡のいただきも地平線の下にしずんでしまった....
「南半球五万哩」より 著者:井上円了
街灯のいまだ隠れざるうちに、デンマーク首都コペンハーゲンの灯台を認む。ときに煙月
微茫、清風船に満ち、すこぶる幽趣あり。 やる舟路マルモのあかり消えぬ間に、コペン....
「フレップ・トリップ」より 著者:北原白秋
しかもまた雲霞のごとく後から後から押し寄せるのだ。 北海の黎明である。 雲は
微茫のうちにあって暗く、霧は涯しなく吹き満ち、水平線のかなた遥かに澄みとおる紫の....