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徳望
「徳望〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
徳望の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「籠釣瓶」より 著者:岡本綺堂
から認められていた。彼もそれを得意としていた。しかし彼は大親分と立てられるような
徳望にかけていたので、相当の子分をもちながら彼の縄張り内は余りに拡げられなかった....
「彼岸過迄」より 著者:夏目漱石
の家名を揚《あ》げるというのは、名誉の意味か、財産の意味か、権力の意味か、または
徳望の意味か、そこへ行くと全く何の分別もない。ただ漠然《ばくぜん》と、一つが頭の....
「深夜の市長」より 著者:海野十三
長』といえば、深夜のT市に蠢いている人たちから、生き神さまのように尊敬されている
徳望の主ではないか。それが事もあろうに悪魔とは……。 「そうですわ。あんな悪魔が....
「運命」より 著者:幸田露伴
太祖崩じ、皇太孫立つに至って、廷臣|交々孝孺を薦む。乃ち召されて翰林に入る。
徳望|素より隆んにして、一時の倚重するところとなり、政治より学問に及ぶまで、帝の....
「夜明け前」より 著者:島崎藤村
磐戸を開こうとしてあらわれて来た手力男の命にたとえたいような人もあった。その人の
徳望と威力とは天下衆人に卓絶するものとも言われた。けれども、磐屋の前の暗さに変わ....
「新ハムレット」より 著者:太宰治
のすすめに依って、わしが王位にのぼったのですが、わしとても先王ほどの手腕は無し、
徳望も無ければ、また、ごらんのとおり風采もあがらず、血をわけた実の兄弟とも思われ....
「続獄中記」より 著者:大杉栄
いうのは、その頃もう六十余りの老人で、十幾年とか二十幾年とか監獄に勤めて地方での
徳望家だといううわさだった。僕にはどうしてもそのうわさが正当には受けとれなかった....
「大菩薩峠」より 著者:中里介山
この老女がただものでないということと、ただものでないながら、こうして通して行ける
徳望は認めなければならないのであります。侠気《きょうき》、胆力、度量、寧《むし》....
「蓮花公主」より 著者:田中貢太郎
が解りかねます」 貴い官にいる人はいった。 「王様が先生が清族で、そのうえ代代
徳望のあるのをなつかしく思われて、一度お目にかかってお話したいと申しますから、御....
「白塔の歌」より 著者:豊島与志雄
玄は今では、あまり世間のことに関係したがらず、家居しがちでありましたが、その見識
徳望の高さを以て巍然として聳えてる観がありました。それ故、呂将軍と共に方家へ招か....
「十二神貝十郎手柄話」より 著者:国枝史郎
う時世には私のような男が、一人ぐらい出る必要がある。お父上が老練と家柄と、穏健と
徳望とを基にして、老中筆頭という高官にあって、田沼の横暴を抑えたのを、私は年若と....
「自警録」より 著者:新渡戸稲造
《ひ》ごろその主義を完うせざるものは、無遠慮に罰し、日《ひ》ごろの行状が正しく、
徳望高き人は特に穏便に取扱い、戦時だけ自分に都合《つごう》よき主義を唱えたとても....
「少年連盟」より 著者:佐藤紅緑
十五人の少年連盟の首領として、われわれが選挙する人物は、われわれのうちでもっとも
徳望あり、賢明であり、公平であるところのゴルドン君でなければならん」 「いやいや....
「淡島椿岳」より 著者:内田魯庵
記がある、また『太陽』の第一号に依田学海の「伊藤八兵衛伝」が載っておる。実業界に
徳望高い某子爵は素と八兵衛の使用人であって、先年物故した夫人はタシカ八兵衛の遺子....
「法然行伝」より 著者:中里介山
の法然を召し出して先達とせられたこと、帝王|帰依《きえ》の致す処とは云え、個人の
徳望の威力古今無比といわねばならぬ。 十 のみならず高倉院御在位の時、承安五年....