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「心ながら〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す

心ながらの前後の文節・文章を表示しています。該当する12件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
薤露行」より 著者:夏目漱石
寄る路のとてもなければ、白き胡蝶《こちょう》は薄き翼を収めて身動きもせぬ。 「無心ながら宿貸す人に申す」とややありてランスロットがいう。「明日《あす》と定まる仕....
花吹雪」より 著者:太宰治
何とか言われて恐悦がっているようだが、汝は隣組の注意人物になっているのだぞ、老婆心ながら忠告致す、と口速に言いてすなわち之が捨台詞とでも称すべきものならんか、屋....
浮雲」より 著者:二葉亭四迷
た徒《た》だ外界と縁遠くなったのみならず、我内界とも疎《うと》くなったようで、我心ながら我心の心地はせず、始終何か本体の得知れぬ、一種不思議な力に誘《いざな》わ....
新樹の言葉」より 著者:太宰治
なっているのを知って、つるいない、つるいない、とずいぶん苦しく泣きころげた。子供心ながらも、ずたずた断腸の思いであったのである。あのとき、つるの言葉のままに起き....
源氏物語」より 著者:紫式部
する形も、筆の持ち方の子供らしいのもただかわいくばかり思われるのを、源氏は自分の心ながら不思議に思われた。 「書きそこねたわ」 と言って、恥ずかしがって隠すの....
源氏物語」より 著者:紫式部
てもあの醜い記憶が心にある間は、以前の感情でその人が見られるかということは自身の心ながらも疑わしくて、苦悶《くもん》をしたりしながら、御息所の体面を傷つけまいた....
源氏物語」より 著者:紫式部
の人の真価を認めようとはしなかった。またいやな事件も起こって来た時からは、自身の心ながらも恋を成るにまかせてあった。それが昔のようにして語ってみると、にわかに大....
源氏物語」より 著者:紫式部
ては恐怖に似たものを感じて、恥ずかしくなり、誤った考えにとらわれていることはわが心ながら許すべきことでない、少しのことにも人を不快にさせ、人から批難を受けること....
源氏物語」より 著者:紫式部
くばかり薫は思った。 宮は二、三日も六条院にばかりおいでになったのを、御自身の心ながらも恨めしく思召されてにわかにお帰りになったのである。もうこの運命は柔順に....
南国太平記」より 著者:直木三十五
」 と、頷いた。二人の手先が、小太郎の左右に添って、袖を掴んだ。 「今一つ、無心ながら、妹と、暫く話を致したい」 「よろしい」 深雪は、蒼白になっていたが、....
西林図」より 著者:久生十蘭
だ。こんなものを食ったおかげで、千年も長生きをするんじゃたまらないと思って、子供心ながら、だいぶ気にした」 「あなたのお話は、いつも、どこかズレているのでハラハ....
無月物語」より 著者:久生十蘭
人の父親なのだ」 泰文のいいあらわしようもない卑しい眼差にあうなり、花世は子供心ながらに、父がいまどんな浅間しいことを考えているかを感じとってしまった。 「な....