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心の底
「心の底〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
心の底の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「偸盗」より 著者:芥川竜之介
熊《いのくま》のばばは、蛙股《かえるまた》の杖《つえ》を早めながら、この時始めて
心の底で、しみじみこう、祈ったのである。
かれこれその時分の事である。楚《す....
「大導寺信輔の半生」より 著者:芥川竜之介
事件を思い出す度に、――この不思議に美しい灯取虫の生死を思い出す度に、なぜか彼の
心の底に多少の寂しさを感ずるのである。………
信輔は才能の多少を問わずに友だち....
「戯作三昧」より 著者:芥川竜之介
琴もつとに聞いていたところである。だから、もちろん彼はこの作者らしくない作者を、
心の底から軽蔑していた。が、それにもかかわらず、今市兵衛が呼びすてにするのを聞く....
「疑惑」より 著者:芥川竜之介
ょう。しかしたとい狂人でございましても、私を狂人に致したものは、やはり我々人間の
心の底に潜んでいる怪物のせいではございますまいか。その怪物が居ります限り、今日《....
「開化の良人」より 著者:芥川竜之介
だよ》っている種類の人であった。が、同時にまたその顔には、貴族階級には珍らしい、
心の底にある苦労の反映が、もの思わしげな陰影を落していた。私は先達《せんだっ》て....
「神神の微笑」より 著者:芥川竜之介
まった。………
その夜《よ》も三更《さんこう》に近づいた頃、オルガンティノは失
心の底から、やっと意識を恢復した。彼の耳には神々の声が、未だに鳴り響いているよう....
「首が落ちた話」より 著者:芥川竜之介
明になって、自然と雲の影に吸われてしまった。
その足が消えた時である。何小二は
心の底から、今までに一度も感じた事のない、不思議な寂しさに襲われた。彼の頭の上に....
「或日の大石内蔵助」より 著者:芥川竜之介
むろ》に彼をつつんで来るのを意識した。このかすかな梅の匂につれて、冴《さえ》返る
心の底へしみ透って来る寂しさは、この云いようのない寂しさは、一体どこから来るので....
「三右衛門の罪」より 著者:芥川竜之介
は?」
「それははっきりとはわかりませぬ。しかし今考えますると、わたくしはどこか
心の底に数馬に済まぬと申す気もちを持って居ったかとも思いまする。それゆえたちまち....
「素戔嗚尊」より 著者:芥川竜之介
た。が、彼のために悲惨な死を招いた、あの猪首《いくび》の若者の記憶は、未だに彼の
心の底に傷《いた》ましい痕跡《こんせき》を残していた。この記憶を抱《いだ》いてい....
「捨児」より 著者:芥川竜之介
の子が、夫婦の間《あいだ》に生まれました。勿論悲惨な捨子の記憶は、この間も夫婦の
心の底に、蟠《わだかま》っていたのに違いありません。殊に女は赤子の口へ乏しい乳を....
「侏儒の言葉」より 著者:芥川竜之介
夢をペンにした時、あらゆる革命に絶望していた。このことだけは今日もなお何か我我の
心の底へ滲《し》み渡る寂しさを蓄えている。夢は既に地上から去った。我我も慰めを求....
「さまよえる猶太人」より 著者:芥川竜之介
おんあるじ》の紫の衣を見送った。そうして、それと共に、云いようのない後悔の念が、
心の底から動いて来るのを意識した。しかし、誰一人彼に同情してくれるものはない。彼....
「夢」より 著者:芥川竜之介
したりした。けれどもわたしの心もちは一層憂鬱になるばかりだった。わたしはわたしの
心の底にも彼女を殺したいと思ったことはなかった。しかしわたしの意識の外には、――....
「狂人日記」より 著者:秋田滋
の仕事とした。詐欺師や殺人犯人達にとって、彼ほど怖いものは無かった。という訳は、
心の底にかくしている考を見破られ、一と眼で肚の中をすっかり見られてしまうからであ....