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「心の空〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す

心の空の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
大島が出来る話」より 著者:菊池寛
を享《う》けて居るのは、殆ど夫人の力であった。夫人の温情を、想い起す毎に、譲吉の心の空虚は、何時迄も消えなかった。 夫人の三十五日の法事に、近藤家を訪うた譲吉....
惜みなく愛は奪う」より 著者:有島武郎
券として、長くこの世に栄えるだろう。 然し私はこの生活に無上の安立を得て、更に心の空しさを感ずることがないか。私は否と答えなければならない。私は長い廻り道の末....
灯台鬼」より 著者:大阪圭吉
車に連なる精巧な旋回装置は無残にも粉砕されて、ランプの回転動力なる重錘を、塔の中心の空洞につるしているはずのロープは、もろくも叩き切られていた。 けれども何に....
夜明け前」より 著者:島崎藤村
日は一日よりその気力を回復して来ている。妻のお民は、と見ると、泣いたあとでもすぐ心の空の晴れるようなのがこの人の持ち前だ。あれほど不幸な娘の出来事からも、母とし....
」より 著者:島崎藤村
業の方へ向いた。その自分の気質に適した努力の中に、何物を以ても満すことの出来ない心の空虚を充そうとしていた。 彼が探していた質実な生活は彼の周囲に在った。先ず....
白峰山脈縦断記」より 著者:小島烏水
、年代また年代と、築き上げて作製した、百万年の壁画が、落ちた。 寂しさは、人の心の空虚を占領した。 鼠色の凶兆はあった、それから間もなく、疾風豪雨になって、....
認識論とは何か」より 著者:戸坂潤
われているからである。虚偽や虚栄は、何が空虚なのかと云えば、意識の自己確実性=良心の空ろのことだから、して見ると誤謬も決して消極的なものではない。誤謬は誤差とい....
菜穂子」より 著者:堀辰雄
だが、そんなものの何んにもない此のおれは一体どうすれば好いのか? 此の頃のおれの心の空しさは何処から来ているのだ? ……」そう云う彼の心の空しさなど何事も知らな....
世界怪談名作集」より 著者:岡本綺堂
唇をもぐもぐさせながら、体をあちらこちらへ揺すぶっていた。彼女のどんよりした眼は心の空虚をあらわし、また彼女が体を揺すぶっているのは自己の意志で動かしているので....
ジャン・クリストフ」より 著者:豊島与志雄
べてを美しく気高く快くなした。人の心に激しい愛の欲求を伝えた。と同時に、そういう心の空虚を満さしてやるために、愛の幻をさしつけてくれた。小さなクリストフは激しい....
レ・ミゼラブル」より 著者:豊島与志雄
かなかった。ジルノルマン氏はこれがいけなければあれを取ろうという人ではなかった。心の空虚には間に合わせの穴ふさぎではだめである。またテオデュールの方でも、遺産を....
悪魔の聖壇」より 著者:平林初之輔
気は幸か不幸かなおりました」 「しかし病気はなおっても、恋人を失ったためにできた心の空虚《うつろ》は決して満たされませんでした。彼女のいなくなった町は私には砂漠....
仙術修業」より 著者:田中貢太郎
に埋めてやった。 大森林、大|谿谷、奔湍、風の音、雨、山をつんざく雷、時雨、無心の空の雲、数箇月に渡る雪の世界。こうした巡礼の日が続いていると、夢ともなく現と....
仏教人生読本」より 著者:岡本かの子
あります。 けれどもそれが不幸というわけではないのであります。それは曇りがちな心の空であるにしても、どこかに陽が射しているのであります。曇り空でも洩れる陽射し....
戦争史大観」より 著者:石原莞爾
とはならない。空軍の徹底的発達がこの決戦戦争を予告し、それも地上作戦でなく敵国中心の空中襲撃に依る事は疑いを入れない。地球の半周の距離にある敵に対し決戦戦争を強....