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心中者
「心中者〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
心中者の前後の文節・文章を表示しています。該当する12件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「鳥辺山心中」より 著者:岡本綺堂
ものじゃ。噛みしめて味わう気があるなら、お前も若いお侍、一夜の附合いで登り詰める
心中者《しんじゅうもの》がないとも限らぬ。兄嫁のわたしが意見じゃ。一座になって面....
「身投げ救助業」より 著者:菊池寛
へ行くよりほかに仕方がなかった。しかし死ぬ前のしばらくを、十分に享楽しようという
心中者などには、この長い道程もあまり苦にはならなかっただろうが、一時も早く世の中....
「旗本退屈男」より 著者:佐々木味津三
誰でもない退屈男早乙女主水之介でした。 「土左船、水死人はどんな奴ぞ?」 「
心中者でごぜえますよ」 「ほほう。粋なお客じゃな。何者達かい」 「男は京橋花園小....
「柿の種」より 著者:寺田寅彦
* 犬吠岬の茶店の主人の話だそうである。三十年来の経験で、自殺者
心中者はたいてい様子でわかる。思案にくれて懊悩しているようなのはかえって死なない....
「ジャーナリズム雑感」より 著者:寺田寅彦
ないわけにはゆかないようである。 昔の新聞にはずいぶんおもしろい例が多かった。
心中者の二人が死ぬ前に話し合った言葉などがさもそばで速記者が立ち聞きでもしていた....
「大菩薩峠」より 著者:中里介山
まちじょうるり》の一くさりも唸《うな》れなければ、さむらいではないと思っている、
心中者が出来れば羽目《はめ》を外《はず》して大騒ぎをやる、かりにも老中のお屋敷が....
「棺桶の花嫁」より 著者:海野十三
一枚になってしまったんだからなァ」 と、同情の声が傍から聞えた。二人は全く夫婦
心中者に見られてしまったらしい。 杜はお千の背中を抱いたまま、不思議に自然に、....
「思想としての文学」より 著者:戸坂潤
大いによろしいのだが、併し生即死的な社会科学的理論体系を造られては、戦死者も親子
心中者も政治犯死刑囚も、浮ばれないだろう。 文学的表象をウッカリ誤用すると、こ....
「大菩薩峠」より 著者:中里介山
乱したんじゃお話になりません」 「どうして、そういうことがわかります、ほんとうに
心中者があったとすれば、このままでは済まされますまい、迷惑千万なことだが、一応、....
「大菩薩峠」より 著者:中里介山
の際の芸が身を助ける強味をも算用に入れているから、世の常の浮気者や、切羽つまった
心中者の、身も魂も置きどころのない、ぬけがらの道行と違って、いわば経済的の根拠が....
「黒百合」より 著者:泉鏡花
女の手一つで立過して、そんな恐ねえ処へ貴方のために参ったんだ、憎くはありません、
心中者だ。ですが、そりゃ私どもはじめ世間で感心する事で、当の対手は何の女ッ子の生....
「空中征服」より 著者:賀川豊彦
こう叫んだ。 「なんだろうね、土左衛門のようだね」 「土左衛門と違うぜ! 私らも
心中者じゃ。ちょっと待たっしゃれ。今、私ら二人は岸に上って行くから」 そう言う....