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心尽く
「心尽く〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
心尽くの前後の文節・文章を表示しています。該当する14件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「或る女」より 著者:有島武郎
かった。ただなんでもいいせっせと手当たり次第したくをしておかなければ、それだけの
心尽くしを見せて置かなければ、目論見《もくろみ》どおり首尾が運ばないように思った....
「或る女」より 著者:有島武郎
泣きながら頭を下げてありがとうございますという事でしょうよ。これまでのあなたのお
心尽くしでわたしはもう充分。またいつか御恩返しのできる事もありましょう。……それ....
「右門捕物帖」より 著者:佐々木味津三
われてきた一通は、次のごとくに書かれた紙片でした。 「そなたのうれしきあの夜の
心尽くし、生々世々忘れまじく候《そうろう》。されど、今は親しくお目にもかかれぬ身....
「阿部一族」より 著者:森鴎外
いという考えで、見舞いにはやったのである。女房は夫の詞《ことば》を聞いて、喜んで
心尽くしの品を取り揃えて、夜ふけて隣へおとずれた。これもなかなか気丈な女で、もし....
「小説 不如帰 」より 著者:徳冨蘆花
もして、ね、――そうおとうさまもおっしゃっておいでだけれども――浪さん、あんたの
心尽くしはきっとわたしが――手紙も確かに届けるから」 ほのかなる笑は浪子の唇に....
「ジャン・クリストフ」より 著者:豊島与志雄
彼女は考えた。そして彼女は彼のために不幸であった。この憐《あわ》れな少女は、その
心尽くしの報いをほとんど受けなかった。コレットがクリストフを腹だたせると、彼女は....
「千人針」より 著者:寺田寅彦
さの程度にいくらかのちがいがありはしないかと思われる。戦争でなくても、これだけの
心尽くしの布片を着込んで出で立って行けば、勝負事なら勝味が付くだろうし、例えば入....
「世界怪談名作集」より 著者:岡本綺堂
の情に胸を破らるるばかりであったが、さすがに死ぬことはできなかった。彼女のために
心尽くしをすればするほど、彼女への恋は弥増してゆくばかりであった。たとい彼女がコ....
「弓道中祖伝」より 著者:国枝史郎
づいた。 (さっきの女性と老人とが、この館に住む人々で、その人々がこの身に対し、
心尽くしをしたのであろう) 「忝けのうござる、頂戴|仕る」 どこにも人影は見え....
「幕末維新懐古談」より 著者:高村光雲
いのは牝牛といったものです。ロースだのヒレーだのということは知りません。母は悴の
心尽くしですから、魚もきらいな人がこれだけは喜んで食べ、味噌や醤油につけなどして....
「つづれ烏羽玉」より 著者:林不忘
傷がいたむのだ。 「まだ傷が痛みますか」 「なに、大したこともござらぬ。重々のお
心尽くしかたじけのうござる」 ぽつりと切るようにいって二人は無言、文次の茶をす....
「雪代山女魚」より 著者:佐藤垢石
十三個ずつの小判型した濃紺の斑点は、渓流の美姫への贈物として、水の精から頂戴した
心尽くしの麗装に違いない。しかも藍色の背肌に、朱玉をちりばめしにも似て点在する小....
「みやこ鳥」より 著者:佐藤垢石
と兵子帯が入っていた。毛布もある。持物すべてを買って貰った。古着屋の主人は、母の
心尽くしの袷を、汚らしそうに、指先で抓みあげた。それが、私に悲しかった。 酒を....
「鳴門秘帖」より 著者:吉川英治
ている以上、先の当然な言葉を退けるわけにはゆかない。ましてや、あくまでニコやかな
心尽くしを。 有村はじりじりと思う。 先にお久良の部屋で見ておいた三個のつづ....