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心尽し
「心尽し〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
心尽しの前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「クララの出家」より 著者:有島武郎
日にも聖ルフィノ寺院で式があるから、昨日のものとは違った服装をさせようという母の
心尽しがすぐ知れた。クララは嬉しく有難く思いながらそれを着た。そして着ながらもし....
「地球盗難」より 著者:海野十三
お内儀さんが、井戸の中に漬けて冷やしてあったビールを搬んできた。それは大隅学士の
心尽しだった。 「やあ、俺の大好物が出てきたな。これはすまん」と佐々はゴクリと喉....
「母子叙情」より 著者:岡本かの子
裏もあり、行灯もあった。西洋人に日本の郷土色を知せるには便利だろうという実業家の
心尽しだった。稚子髷に振り袖の少女の給仕が配膳を運んで来た。 K・S氏はそこで....
「支倉事件」より 著者:甲賀三郎
時支倉が神戸牧師に宛て送った手紙にその有様が覗かれる。 「此度の件に就ては色々御
心尽しを忝のうし、何と御礼申してよきやら、御礼の申上げようも無之次第、主は必ず小....
「名人長二」より 著者:三遊亭円朝
の扱いにしようと思召したのを、長二は却って怒り、事実を明白に申立てたので、折角の
心尽しも無駄になりましたが、その気性の潔白なるに益々感服致されましたから、猶工夫....
「みみずのたはこと」より 著者:徳冨健次郎
先生を愛する者にとっては、先生の最期は苦しい最期でした。何故先生は愛妻愛子愛女の
心尽しの介抱の中に、其一片と雖も先生を吾有と主張し要求し得ぬものはない切っても切....
「死者の書」より 著者:折口信夫
其為には、ゆくりない事が、幾重にも重って起った。姫の帳台の後から、遠くに居る父の
心尽しだったと見えて、二巻の女手の写経らしい物が出て来た。姫にとっては、肉縁はな....
「霊界通信 小桜姫物語」より 著者:浅野和三郎
しい間柄……殊にあなたが何回も私の佗住居を訪れていろいろと慰めてくだされた、あの
心尽しは今もうれしい思い出の一つとなって居ります。その御恩がえしというのでもあり....
「香奠」より 著者:豊島与志雄
で話はそのままになって、彼は夕食の馳走になってゆくことになりました。 妻の
心尽しで、餉台の上には酒の銚子まで並んでいました。そして一緒に酒を飲み食事をしな....
「影」より 著者:豊島与志雄
、いつのまにか夕方になりましたので、また明日のことだと一先ずきりをつけて、叔母の
心尽しの御馳走が並んでる餉台で、皆は楽しい晩餐をしたためました。可なり遅く八時頃....
「三木清を憶う」より 著者:豊島与志雄
亡より一週間ばかり前に退院さしてやった。この前後のことについて、三木の大きな温い
心尽しが感ぜられる。 三木自身も、どうせ亡くなるものなら、せめて、一週間ばかり....
「肝臓先生」より 著者:坂口安吾
生きた魚には魚の臭気がなくて、かみしめる肉に甘さがこもり、人にたべてもろうための
心尽しの数々がこもっていることを知って満足するのである。彼らは帝国ホテルのフラン....
「千人針」より 著者:寺田寅彦
の瀬戸際に立つ人にとっては、たった一片の布片とは云え、一針一針の赤糸に籠められた
心尽しの身に沁みない日本人はまず少ないであろう。どうせ死ぬにしてもこの布片をもっ....
「フランケンシュタイン」より 著者:シェリーメアリー・ウォルストンクラフト
わけだ。 しかし、実際には、私の病気は重くて、この友だちの根気の要る限りもない
心尽しがなければ、とうの昔に死んでいたことはたしかだ。自分が存在を与えた怪物の姿....
「ベートーヴェンの生涯」より 著者:ヴェーゲラーフランツ・ゲルハルト
十一月十六日、ヴィーン 善き友ヴェーゲラー! 僕が受ける資格が無いほどな親切な
心尽しを、またしても君から受けたことにお礼をいう。僕の近況と、また僕にとって必要....