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心打
「心打〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
心打の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「オリンポスの果実」より 著者:田中英光
日に焼けた顔、その熱狂ぶりも烈《はげ》しくて、彼等の朴訥《ぼくとつ》な歓迎には、
心打たれるものがありました。
ぼくは、愈々《いよいよ》、あなたを忘れねば、と繰....
「窓」より 著者:鷹野つぎ
れを聴く私の気分は苦しいまでに冴え、小谷さんの手をかえ品をかえる伝道の熱心さにも
心打たれた。 既に附添われた最初のころから私は、かの女が模範附添婦として院長に....
「落ちてゆく世界」より 著者:久坂葉子
死骸にむかって真面目に必死になって言葉をかけている兄の姿に、私はわずかばかり
心打たれました。 「死人に口なしさ」 弟がため息と一しょにそう云いました。私は....
「人間繁栄」より 著者:豊島与志雄
よりは、夜更けの橋の上で彼女等とひょっくり出逢ったという情景に、場合が場合だけに
心打たれて、しめやかな淋しい気持で、茫と月の光に浮出してる遠景を眺め入った。黒々....
「死の前後」より 著者:豊島与志雄
を呼びさますのだったが、そのおしげの床が空っぽだった。それだけのことに彼女は変に
心打たれ、いちどにはっきり眼をさまし、急いで寝間着を着かえ、帯を結びながら台所へ....
「椎の木」より 著者:豊島与志雄
かけても、誓うかね。」 「はい。」 厳粛だとさえ云えるほどの情景だった。良一は
心打たれてただじっと坐っていた。川村さんと竹山とは、いつまでも黙っていた。やがて....
「太宰治との一日」より 著者:豊島与志雄
のところへ来たのである。私は後に「人間失格」を読んで、あれに覗き出してる暗い影に
心打たれた。あの暗い影が、彼の心に深く積もっていたのだろう。 然し、愚痴をこぼ....
「ジャン・クリストフ」より 著者:豊島与志雄
然のままになって、すべてが静寂にとざされるのであった。 その静寂にクリストフは
心打たれた。彼はしばしばその眺め場所に人知れず上った。大きくなるにしたがって、眼....
「ジャン・クリストフ」より 著者:豊島与志雄
りたがっていたが、彼はその無礼な仕打ちをも見ないふりをしていた。 クリストフが
心打たれたのは、ただローザの態度だけであった。この少女は家族のだれよりもいっそう....
「ジャン・クリストフ」より 著者:豊島与志雄
祷に我れを忘れて、彼の姿に気づかなかった。悲しい切ない表情をしていた。彼はそれに
心打たれた。なんとか言葉をかけたかった。少なくとも挨拶《あいさつ》だけなりとした....
「ジャン・クリストフ」より 著者:豊島与志雄
てるそれらの中にあって、クリストフは熱に浮かされ、半ば病気の心地だったが、はっと
心打たれた。――飢えと、室の微温と、おびただしい絵画とに、彼はぼんやりして、ほと....
「ジャン・クリストフ」より 著者:豊島与志雄
いた、この天使のごとき楽匠が、音楽の聖者が、享楽的なパリーのまん中にいたことは、
心打たるる光景だった。 フランスの深い生活を知らないクリストフにとっては、無信....
「ジャン・クリストフ」より 著者:豊島与志雄
この女優は伝奇的な通俗悲劇《メロドラマ》の中の女王を演じていた――それらに彼女は
心打たれた。感動のあまりぞっと凍えきり、胸がひどく動悸《どうき》した……。「そう....
「ジャン・クリストフ」より 著者:豊島与志雄
人々を奮い起《た》たせてる隠れたる力をも認めた。そして事物の悲壮な光景にますます
心打たれた。クリストフのほうはいっそう、人の滑稽《こっけい》な様子に敏感だった。....
「ジャン・クリストフ」より 著者:豊島与志雄
てまたおそらく彼女は、彼の愛の脅威を常に感ずるので疲らされていた。その愛は美しく
心打つものではあったが、しかしまた執拗《しつよう》なものであって、それにたいして....