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心眼
「心眼〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
心眼の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「恩讐の彼方に」より 著者:菊池寛
ただ暗中に端座して鉄槌を振っている了海の姿が、墨のごとき闇にあってなお、実之助の
心眼に、ありありとして映ってきた。それは、もはや人間の心ではなかった。喜怒哀楽の....
「耽溺」より 著者:岩野泡鳴
思うと、これもまた厭になって、僕は半ばからだを起した。そうすると、吉弥もまた僕の
心眼を往来しなくなった。 暑くッてたまらないので、むやみにうちわを使っていると....
「海底大陸」より 著者:海野十三
るんだ」 クーパーは、どっかと廻転椅子の上にこしをおろした。眼は見えぬながら、
心眼というものを開いて物を見ようと思った。 さっき、たばこに火をつけようとした....
「神州纐纈城」より 著者:国枝史郎
ていた。片手で薬箱を肩に担ぎ、片手で木刀を青眼に構えた。眼を据えて暗中を睨んだ。
心眼に昼夜|無矣! 黒々と相手の姿が見えた。老松を背にして立っていた。抜き身を....
「霊魂第十号の秘密」より 著者:海野十三
その姿勢ではとても見ることのできないはずの、聖なる新月の神々《こうごう》しい姿を
心眼の中にとらえて、しっかりと拝《おが》んでいたのだ。 風が土砂《どしゃ》をふ....
「八ヶ嶽の魔神」より 著者:国枝史郎
、六番目にある極意であった。 正面をさえ睨んでいれば、横竪上下遠近の敵が、自ら
心眼に映ずるのであった。と云ってもちろん初学者には――いやいや相当の使い手になっ....
「神秘昆虫館」より 著者:国枝史郎
いつかいるな! 刀を按じて!」 迫身《ハクシン》ノ刀気《トウキ》ハ盤石ヲ貫ク、
心眼察スル者《モノ》則《スナワ》チ豪《ゴウ》――鐘巻流の奥品《おうぽん》にある。....
「楢重雑筆」より 著者:小出楢重
場前の椅子へ腰をおろして、私のトランクが宿の六畳の間で黒煙に包まれているのを私の
心眼という奴に照して遥かに眺めていたものであった。 そのトランクの中にはまだ作....
「油絵新技法」より 著者:小出楢重
食べるか、それは画家は先ずこの世の中の地球の上に存在する処の、眼に映ずると同時に
心眼に映ずる処の物象の確実な相を掴みよく了解し、よく知りよくわきまえ、その成立ち....
「世界怪談名作集」より 著者:岡本綺堂
、彼女の美妙な慈悲ぶかい力を思い出した。純粋な清い泉がその底から透明の姿を、彼の
心眼に明らかにうつし出したとき、彼女の胸から神聖な熱情のほとばしり出たことを思い....
「霊訓」より 著者:浅野和三郎
提示する現象的方面に、注意を払うことを辞せないものも居るが、そはわれ等の事業の中
心眼目ではない。われ等の伝えんとするものは、主として魂と魂の交渉であり、又死後に....
「夢は呼び交す」より 著者:蒲原有明
までも考えつづける。そうすると、今しがた出て往った隣の坊ちゃんが、まざまざとまた
心眼に映る。 坊ちゃんは格子戸につかまって昇り降りするが、その格子戸が因陀羅網....
「血曼陀羅紙帳武士」より 著者:国枝史郎
ながらも、こっちの無言の気合いに圧せられ、金縛りのようになっている、頼母の姿が、
心眼に映じていた。 彼は、姿を見せずに、気合いだけで、ジリジリと、相手の精神を....
「明治の戦争文学」より 著者:黒島伝治
し得ているのである。そして、彼が軍艦に乗り組んでそこでの生活を目撃しながら、その
心眼に最もよく這入ったものは、士官若しくはそれ以上の人々の生活と、その愉快なこと....
「ベートーヴェンの生涯」より 著者:片山敏彦
合って表現せられる。」(一八九〇年四月十二日および二十四日) 「心の最良の瞬間に
心眼の前にうかび漂い、普通の現実の上高く心を高めるところの或る完璧な現実の予感と....