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心置き
「心置き〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
心置きの前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「路上」より 著者:芥川竜之介
二段ずつ一遍にとび上る事が出来るんだぜ。」
俊助は辰子と顔を見合せて、ようやく
心置きのない微笑を交換した。
十一
辰子《たつこ》は蒼白い....
「或る女」より 著者:有島武郎
さいまし。それでないとなんだか改まってしまってお話がしにくくっていけませんから」
心置きない、そして古藤を信頼している様子を巧みにもそれとなく気取《けど》らせるよ....
「カインの末裔」より 著者:有島武郎
《もちろん》彼れを上機嫌にした。一緒に飲んでいるものが利害関係のないのも彼れには
心置きがなかった。彼れは酔うままに大きな声で戯談口《じょうだんぐち》をきいた。そ....
「星座」より 著者:有島武郎
ろがおぬいさんは顔をあからめもせず、すましもせず、高笑いもせずに、不断のとおりの
心置きない表情に少しほほ笑みながら「いいえ」とだけいって、俯向《うつむ》き加減に....
「幽霊塔」より 著者:黒岩涙香
久しく彼から便りを聞きませんけれど数年前は度々私の門を叩きました、彼の紹介ならば
心置きなくお話し致しましょうが、イヤ好うこそお出で下さった、此の様な場合に根本か....
「親子」より 著者:有島武郎
れだといって少しも快活ではなかった。自分の後継者であるべきものに対してなんとなく
心置きのあるような風を見せて、たとえば懲しめのためにひどい小言を与えたあとのよう....
「支倉事件」より 著者:甲賀三郎
「お前は日頃尊敬している神戸牧師に面会する事が出来て嬉しいであろう。何なりとも
心置きなく話すが好い」 署長の言葉と共に、神戸牧師は少し椅子を乗り出して、きっ....
「日本脱出記」より 著者:大杉栄
ヨンの友人等にも電報や手紙を出して、その日までに立てる準備をした。そして僕が何の
心置きもなく安心してその準備に取りかかれたのは、僕の友人や同志が誰一人僕のまき添....
「真夏の夢」より 著者:有島武郎
てヒヤシンスのように青いこの子の目で見やられると、母の美しい顔は、子どもと同じな
心置きのない無邪気さに返って、まるで太陽の下に置かれた幼児のように見えました。 ....
「街はふるさと」より 著者:坂口安吾
やって、 「こちら、北川さん?」 「そうです。在京中は形影相伴う血族ですから、お
心置きなく」 青木が放二のことを説明しておいたのだろうと思うから、長平は気にと....
「明治開化 安吾捕物」より 著者:坂口安吾
神仏がヘタの横好きに憐れみを寄せたまうお志か。この三名は私の仕事の助手、どうぞお
心置きなく、と新十郎から云われても見れば見るほど取り合せの奇妙さ、キンもウカとは....
「良夜」より 著者:饗庭篁村
れば、「イヤ御遠慮あるな伯父ごとは莫逆の友なり、足下の事は書中にて承知致したり、
心置きなくまず我方に居られよ」と快濶なる詞有難く、「何分宜しく願い申す」と頭をあ....
「褐色の求道」より 著者:岡本かの子
無駄にして、終いには寧ろ青年が快く話し得られるように仕向ける態度を取った。青年は
心置きなく語ったようだ。停車場には伯林行きの汽車が着く頃になったと見え、ちらほら....
「ある恋の話」より 著者:菊池寛
ように来る縁談を斥けて、娘を連れたまま、向島へ別居することになりました。そして、
心置きのない夫婦者の召使いを相手にして、それ以来、ズーッと独身で暮して来ました。....
「宝永噴火」より 著者:岡本かの子
超越の見込みがつかず、享楽本位に気持を入れ換えたのなら、いっそ俗人に立ち還って、
心置きなくその目的に身を入れたらよさそうなものだと思うのに、慧鶴はそれもしなかっ....