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心遣い
「心遣い〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
心遣いの前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「深夜の市長」より 著者:海野十三
坊の場合それは虐待を意味するわけではなく、むしろ母親として我が子に対する情け厚い
心遣いがそうさせたのだろう。 僕は絹坊を伴って灯の入ったばかりの銀座裏へ歩いて....
「蠅男」より 著者:海野十三
害を加えるかもしれないのだ。これは迂濶に部屋を出られないぞと思った。 そうした
心遣いが帆村の緻密な注意力を証拠だてるものであった。けれどその一面に彼がいつもの....
「母子叙情」より 著者:岡本かの子
場所まで、こまかく気を配った。 それは、むす子の生活に便利なよう、母親としての
心遣いには相違なかったが、しかし、肝腎な目的は、かの女自身の心覚えのためだった。....
「革鞄の怪」より 著者:泉鏡花
ような身を緊めた爪先の塗駒下駄。 まさに嫁がんとする娘の、嬉しさと、恥らいと、
心遣いと、恐怖と、涙と、笑とは、ただその深く差俯向いて、眉も目も、房々した前髪に....
「第二菎蒻本」より 著者:泉鏡花
「分ったよ。」 「可ござんすか。」 「煩い。」と心にもなく、車夫の手前、宵から
心遣いに疲れ果てて、ぐったりして、夏の雨も寒いまでに身体もぞくぞくする癇癪まぎれ....
「白金之絵図」より 著者:泉鏡花
せいでもの事なれども、朝、昼、晩、日のあるうちは、令嬢のお目に留って、易からぬお
心遣い、お見舞を受けまする。かつは親御様の前、別して御尊父に忍んで遊ばす姫御前の....
「薄紅梅」より 著者:泉鏡花
吻と吹く酒の香を、横|状に反らしたのは、目前に歴々とするお京の向合った面影に、
心遣いをしたのである。 杯を持直して、 「別れだといいました。糸七も潔く受けま....
「「別居」について」より 著者:伊藤野枝
の日からすべての事に何の未練も残さずにすみました。永い間私を苦しめた功利的な醜い
心遣いもなくなりました。私は今、何の後悔も持たないでいられることを非常に心持よく....
「世界怪談名作集」より 著者:岡本綺堂
は理性の勝った、分別のある人たちの間にバーグレーヴ夫人の評判を悪くさせまいための
心遣いであったように思われるのである。 それからまた、ヴィール氏は金貨の財布も....
「良夜」より 著者:饗庭篁村
ごろには言わるるよと心付きて恥かしく、人の来るを見れば歩きてその疑いを避くるこの
心遣い出来てより、涼しさ元のごとくならず。されどこの清風明月の間にしばらくなりと....
「狂人日記」より 著者:秋田滋
みたいという慾望が、アルコールのように私を酔わせた。私は子供が逃げないようにとの
心遣いから、そーッと子供に近寄って行った。傍へ行くと、やにわに子供の喉首をつかん....
「迷彩」より 著者:上村松園
もちろんありませんけれど、仕上がりについて何処か自然ぴったりしない点などあるかを
心遣います。 ○ 以上のようなことは、
心遣いといっても知れたことです....
「中支遊記」より 著者:上村松園
と、細かい注意をして下さるのであった。これは常々兵隊の身を案じ続けていられる
心遣いが私のような者の上にも泌みでるように出たお言葉であろうと胸に響くものがあっ....
「勝ずば」より 著者:岡本かの子
考書をわざわざ一緒に神田まで買いに行って呉れたり、活動に芝居に誘って呉れた叔母の
心遣いなど政枝は一度に思い出した。すると政枝は急にしゃくり上げて仕舞った。「生き....
「ベートーヴェンの生涯」より 著者:ヴェーゲラーフランツ・ゲルハルト
傾けようとしない。だいたい彼に対して僕は大いに不満だ。こんなふうな病気に対しては
心遣いや親切な辛抱強さが足りな過ぎる。もし僕の方から診察を受けに出かけないとすれ....