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心静か
「心静か〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
心静かの前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「戯作三昧」より 著者:芥川竜之介
見え、その青空には暖かく日を浴びた柿が見える。馬琴は水槽《みずぶね》の前へ来て、
心静かに上がり湯を使った。
「とにかく、馬琴は食わせ物でげす。日本の羅貫中《らか....
「或る女」より 著者:有島武郎
作る事に当惑せずにはいられなかった。事務長と別れて自分の部屋に閉じこもってから、
心静かに考えて置こうとした木村に対する善後策も、思いよらぬ感情の狂いからそのまま....
「或る女」より 著者:有島武郎
畳の部屋《へや》をきれいに片づけて、火鉢《ひばち》の中に香《こう》をたきこめて、
心静かに目論見《もくろみ》をめぐらしながら古藤の来るのを待った。しばらく会わない....
「籠釣瓶」より 著者:岡本綺堂
邪魔をする奴は片っ端から切りまくって、一旦はここを落ち延びて、人の見ないところで
心静かに籠釣瓶を抱いて死のうと、彼は八橋を切った刀の血糊《ちのり》をなめて、階子....
「十八時の音楽浴」より 著者:海野十三
弾や解磁弾が山のように作られていった。皆人造人間の手によって。 そして博士は、
心静かに、遠くから響いてくる人間性讃美の音楽浴のメロディーに聞きほれている。 ....
「賤ヶ岳合戦」より 著者:菊池寛
切るのは当然である。秀吉この有様を見て、中座して別室に退き、香を薫じ、茶をたてて
心静かに、形勢を観望した。しかし間もなく、勝家に次ぐ名望家、丹羽長秀の言葉が紛糾....
「春昼」より 著者:泉鏡花
れた御廚子の傍に、造花の白蓮の、気高く俤立つに、頭を垂れて、引退くこと二、三尺。
心静かに四辺を見た。 合天井なる、紅々白々牡丹の花、胡粉の俤消え残り、紅も散留....
「霊界通信 小桜姫物語」より 著者:浅野和三郎
家もなく、又跡をつぐべき子供とてもない、よくよくの独り身、兎も角も鎌倉へ戻って、
心静かに余生を送るのがよいと思うが……。』いろいろ言葉を尽してすすめられたのであ....
「霊訓」より 著者:浅野和三郎
とを知るからである。われ等は断じて力量以上の、立入った穿鑿には与しない。われ等は
心静かに知識の増進を待って居る。汝等も亦それを待たねばならぬ。 神と人との関係....
「世界怪談名作集」より 著者:岡本綺堂
そう言ったかと思うと、ウェッシントン夫人はまったく倒れてしまった。わたしは彼女を
心静かに家に帰らせるために、そのまま顔をそむけて立ち去ったが、すぐに自分は言い知....
「赤格子九郎右衛門」より 著者:国枝史郎
を立てることも出来なかった。 其間に武士は悠々と忙かず周章てず茶を立て終えて、
心静かに飲み下した。作法に従って清め拭うや、徐に茶碗を箱に納め、ふと利休の方へ顔....
「正雪の遺書」より 著者:国枝史郎
焼打に掛け、駿府の城を乗っ取るというのが、表向きの私の意見でしたが、その実そこで
心静かに自殺する意なのでございました。 今や旅宿は捕り方によって、十重二十重に....
「なよたけ」より 著者:加藤道夫
に、最大の勇気と云うものを必要とするんだ。何よりもまず第一に肚だ。肚を落着けて、
心静かに待とうじゃないか!……何でえ、しっかりしろよ! (いきなり両手で両膝を抱....
「活人形」より 著者:泉鏡花
わじと、裏長屋の近道を潜りて、間近く彼奴の後に出でつ。まずこれで可しと汗を容れて
心静かに後を跟けて、神田小柳町のとある旅店へ、入りたるを突止めたり。 泰助も続....
「六日月」より 著者:岩本素白
山を踰えて坂本へ下りてしまった。我れながら余りの愚しき勇猛が悔いられて、その夜は
心静かに高台寺の下を歩く。 秋も漸く深い夜を、東山の影は黒々と眠って居たが、恵....