心頭[語句情報] » 心頭

「心頭〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す

心頭の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
偸盗」より 著者:芥川竜之介
泡《あわ》をためて、こう叫んだ。太郎は、はっと思った。殺すなら、今だという気が、心頭をかすめて、一閃《いっせん》する。彼は思わず、ひざに力を入れながら、太刀《た....
文放古」より 著者:芥川竜之介
は大莫迦《おおばか》だわ!」何と云うお転婆《てんば》らしい放言であろう。わたしは心頭に発した怒火を一生懸命に抑《おさ》えながら、とにかく一応《いちおう》は彼女の....
或敵打の話」より 著者:芥川竜之介
思った。いや、達せずには置かないと思った。殊に甚太夫はそれがわかった日から、時々心頭に抑え難い怒と喜を感ぜずにはいられなかった。兵衛はすでに平太郎《へいたろう》....
素戔嗚尊」より 著者:芥川竜之介
よ》い所だと申すではございませんか。」 この言葉を聞くと共に、一時静まっていた心頭《しんとう》の怒火《どか》が、また彼の眼の中に燃えあがった。 「高天原の国か....
さまよえる猶太人」より 著者:芥川竜之介
も立っても居られぬような気に」なったのであろう。あげた手が自《おのずか》ら垂れ、心頭にあった憎しみが自ら消えると、彼は、子供を抱いたまま、思わず往来に跪《ひざま....
仇討三態」より 著者:菊池寛
天の座などには、仏種子が知らず知らず増長して、かすかながらも、悟道に似た閃きが、心頭を去来することがあった。 親の敵を求めて、六十余州を血眼になって尋ね歩いた....
海底大陸」より 著者:海野十三
は、じっと直立していた。しかしその大きな球形の頭は、かすかにふるえていた。殿下の心頭に、しだいにいきどおりがのぼってきたのである。 「地上人類たちよ。卿らは、そ....
綺堂むかし語り」より 著者:岡本綺堂
売っていれば、更におもしろい。 こんなことを一々かぞえたてていたら際限がない。心頭を滅却すれば火もおのずから涼し。――そんなむずかしい悟りを開くまでもなく、誰....
人外魔境」より 著者:小栗虫太郎
ンはケロッとして、 「あたし、なんだか忘れてしまったらしいよ」 「馬鹿っ」と怒気心頭に発した折竹ががんと一つ殴りつけ、 「なんのために……。君は、あの二人を殺し....
浮かぶ飛行島」より 著者:海野十三
すぞ」 といわんばかりである。 「うーむ、こいつが……」 杉田二等水兵は、怒心頭に発し、顔を朱盆のように赤くして、中国人ボーイを一撃のもとに――と思ったが、....
琵琶伝」より 著者:泉鏡花
」 お通は屹と面を上げつ、 「いいえ、出来さえすれば破ります。」 尉官は怒気心頭を衝きて烈火のごとく、 「何だ!」 とその言を再びせしめつ。お通は怯めず、....
夢は呼び交す」より 著者:蒲原有明
念となって潜んでいるが、時としては表面にあらわれてかれを脅した。遺伝というものが心頭に絡みついていて離れない。かれはそれを払いのけようとして一生を通じて苦しんで....
妖怪学」より 著者:井上円了
の上に信仰を置き、この病は必ず平癒すべしと自ら信ずるものをいう。すなわち、病気を心頭にかけざるもの、薬石を用いずしてたやすく平癒するの類これなり。つぎに他信法と....
迷信解」より 著者:井上円了
人の霊魂の実在を見るように思うのである。例えば、母親が愛児を失い、毎日毎夜これを心頭に浮かべて忘るることなきときは、その姿が自然に目に触れ、夢のごとくに見ること....
罪人」より 著者:アルチバシェッフミハイル・ペトローヴィチ
に口を開いた。 「あなた御病気におなりなさりはしますまいね。」 フレンチは怒が心頭より発した。非常なる侮辱をでも妻に加えられたように。 「なんだってそんな事を....