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心頼
「心頼〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
心頼の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「河伯令嬢」より 著者:泉鏡花
なのが高く見えた。――橋の上に、兄弟らしい男の子が、二人遊んでいたので、もしやと
心頼みに、茶を一つ、そのよし頼むと、すぐに石段を駈上り縁を廻ったと思えば、十歳ば....
「高野聖」より 著者:泉鏡花
のが待遠《まちどお》でならぬ。
そこではじめの内は我ともなく鐘の音の聞えるのを
心頼みにして、今鳴るか、もう鳴るか、はて時刻はたっぷり経《た》ったものをと、怪《....
「政談十二社」より 著者:泉鏡花
身上ではありまするけれど、気立の可い深切ものでございますから、私も当にはしないで
心頼りと思うております。それへ久しぶりで不沙汰見舞に参りますと、狭い処へ一晩泊め....
「半七捕物帳」より 著者:岡本綺堂
》だから実は今まで黙っていたが、おめえをここまで引っ張り出したのは、もしやという
心頼みがちっとはあったんだ」 「それにしても、こっちの方角とはどうして見当を付け....
「貞操問答」より 著者:菊池寛
なら、新子も汽車に乗り遅れて、駅でマゴマゴしているかもしれない、それがただ一つの
心頼みで……。 自分に、一言の伝言もなく去らなければならなかったとすれば、妻の....
「知々夫紀行」より 著者:幸田露伴
に、来し路を元のところまで返りて行かんもおかしからねばとて、おおよその考えのみを
心頼みに、人にさえ逢えば問いただして、おぼつかなくも山添いの小径の草深き中を歩む....
「夜明け前」より 著者:島崎藤村
人も残らず逃げ去っていた。もっとも食糧だけは家の前に出してあって、なにぶん火の用
心頼むと張り紙をしてあった。その今庄を出てさらに峠にかかるころは深い雪が浪士一行....
「夜明け前」より 著者:島崎藤村
安んぜよとの教えを町人の信条とすることにも変わりなく、親しい半蔵と相見うるの日を
心頼みにした。もはや日に日に日も長く、それだけまた夜は短い。どうして彼はその夏を....
「雪の宿り」より 著者:神西清
とに進んで参る有様が手にとるように窺われます。その中を、わたくしにとって只一つの
心頼みは、あの松王丸様なのでございました。いやそうではございません。すでに御家督....
「賈后と小吏」より 著者:田中貢太郎
かった。売卜の詞によって縋っている者がその縋っている者を悪いようにはしないという
心頼みがあるからであった。 車の足が遅くなって曲り曲りしたかと思うとぴったり停....
「オリンポスの果実」より 著者:田中英光
の風呂敷をつまんで、振って、捨てると、ただ、母の怒罵《どば》をさける為と、万一を
心頼みにして、「やっぱり合宿かなア。もう一度、捜してくらア」と留める母をふりきり....
「沼のほとり」より 著者:豊島与志雄
くなってゆきました。面会帰りの人々の姿が、ちらりほらり見えますのが、時にとっての
心頼りでした。 小さな店家を交えた町筋をぬけると、突き当りが停車場です。その狭....
「祭りの夜」より 著者:豊島与志雄
い識り合いではない。 終戦後、北京から帰国してきた私は、孤独な自分を見出した。
心頼りにしていた姉一家は、戦災に全滅したようだし、他には力になってくれる身内もな....
「大菩薩峠」より 著者:中里介山
しい横文字を書いた書物でも見つかったら――と何のよりどころもない果敢《はか》ない
心頼みで、暫く街頭を散歩してみましたけれど、如何《いかん》せん、その時代の書店の....
「父」より 著者:矢田津世子
の間が疎かった父にしてみれば「お父様っ子」として育った気立の優しい姉が誰れよりも
心頼みだったし、それを姉はよく知っていた。そして、父の信頼を地におとすまい、とす....