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忍び
「忍び〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
忍びの前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「浅草公園」より 著者:芥川竜之介
ずあたりを窺《うかが》っている。覆面《ふくめん》をかけているのを見ると、この室へ
忍びこんだ盗人《ぬすびと》らしい。室の隅には金庫が一つ。
....
「戯作三昧」より 著者:芥川竜之介
月の中旬に獄門になった、評判の高い大賊《たいぞく》である。それが大名屋敷へばかり
忍び込んで、盗んだ金は窮民へ施したというところから、当時は義賊という妙な名前が、....
「邪宗門」より 著者:芥川竜之介
節に合わなかったのが、可笑《おかし》かったのでございましょう。女房たちの間には、
忍び笑いの声が起りましたが、侍が続いて、
「みどりの糸をくりおきて夏へて秋は機織....
「影」より 著者:芥川竜之介
かりではない、その常春藤《きづた》に蔽《おお》われた、古風な塀の見えるあたりに、
忍びやかな靴の音が、突然聞え出したからである。
が、いくら透《すか》して見ても....
「神神の微笑」より 著者:芥川竜之介
む》ろに頭《かしら》をもとへ返した。と、彼の傍《かたわら》には、いつのまにそこへ
忍び寄ったか、昨夜の幻に見えた通り、頸《くび》に玉を巻いた老人が一人、ぼんやり姿....
「袈裟と盛遠」より 著者:芥川竜之介
時、三年ぶりで偶然袈裟にめぐり遇った己は、それからおよそ半年ばかりの間、あの女と
忍び合う機会を作るために、あらゆる手段を試みた。そうしてそれに成功した。いや、成....
「奇怪な再会」より 著者:芥川竜之介
たたず》んだまま、植木の並んだのを眺めている。そこで牧野は相手の後《うしろ》へ、
忍び足にそっと近よって見た。するとお蓮は嬉しそうに、何度もこう云う独り語《ごと》....
「お律と子等と」より 著者:芥川竜之介
噛《こめか》みに即効紙《そっこうし》を貼ったお絹は、両袖に胸を抱《だ》いたまま、
忍び足にこちらへはいって来た。そうして洋一の立った跡へ、薄ら寒そうにちゃんと坐っ....
「或恋愛小説」より 著者:芥川竜之介
を噛んだまま、ピアノばかり見つめている。妙子は戸の外に佇《たたず》んだなりじっと
忍び泣きをこらえている。――その後《のち》二月《ふたつき》とたたないうちに、突然....
「馬の脚」より 著者:芥川竜之介
ゅうおう》に駈《か》けまわる時期である。して見れば彼の馬の脚がじっとしているのに
忍びなかったのも同情に価《あたい》すると言わなければならぬ。……
この解釈の是....
「運」より 著者:芥川竜之介
娘が、綾と絹とを小脇《こわき》にかかえて、息を切らしながら、塔の戸口をこっそり、
忍び出た時には、尼《あま》はもう、口もきかないようになって居りました。これは、後....
「アグニの神」より 著者:芥川竜之介
、どうしてもじっとしてはいられません。そこでとうとう盗人のように、そっと家の中へ
忍びこむと、早速この二階の戸口へ来て、さっきから透き見をしていたのです。 しか....
「墓」より 著者:秋田滋
のだった。小形の龕燈が一つ、掘り返した土塊のうえに置いてあり、その灯がこの見るに
忍びない光景を照らしだしていた。 墓番のヴァンサンは、やにわにその浅ましい男に....
「良夜」より 著者:饗庭篁村
なし、面白き事こそ起りたれと折しもかかる叢雲に月の光りのうすれたるを幸い、足音を
忍びて近づきて見れば男ならで女なり。ますます思いせまる事ありて覚悟を極しならんと....
「スリーピー・ホローの伝説」より 著者:アーヴィングワシントン
通りかかり、蜂蜜の香を吸いこみながら見わたすと、うっとりするような期待が彼の心に
忍びこんで、うまいホットケーキにバタをたっぷりつけ、蜂蜜か糖蜜をたらしたのを食べ....