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「忍びに〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す

忍びにの前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
邪宗門」より 著者:芥川竜之介
らしい事を口に出して、仰有《おっしゃ》った例《ためし》はございません。しかし忍び忍びに御姫様の御顔を拝みに参ります事は、隠れない事でございますから、ある時、それ....
二十世紀旗手」より 著者:太宰治
てから考えた。弱い、踏みにじられたる、いまさら恨《うら》み言えた義理じゃない人の忍びに忍んで、こらえにこらえて、足げにされたる塵芥、腐った女の、いまわのきわの一....
藤十郎の恋」より 著者:菊池寛
今年四十五じゃ。人間の定命《じょうみょう》はもう近い。これほどの恋を……二十年来忍びに忍んだこれほどの恋を、この世で一言も打ち明けいで、いつの世誰にか語るべきと....
右門捕物帖」より 著者:佐々木味津三
あとをつけました。 5 ひと曲がり、ふた曲がり、三曲がりと曲がって、忍びに忍びながら、ふたつの影は、通り新石町をまっすぐに柳原へかかりました。 右....
半七捕物帳」より 著者:岡本綺堂
出るところを一度も見たことはないのであった。禁断を犯す仕事であるから、二人は忍び忍びに家を出て、どんど橋のわきで落ち合うことになっていたように聴いていると彼女は....
夜明け前」より 著者:島崎藤村
だ。」 旧組頭なぞの制することも半蔵の耳に入らばこそだ。これまで幽閉の苦しみを忍びに忍んで来た彼は手をすり足をすりして泣いても足りなかったというふうで、なおも....
八ヶ嶽の魔神」より 著者:国枝史郎
た。それをどうして知ったものか九州|天草や南海の国々から天帝を信じる尼様達が忍び忍びにおいでなされ、お姫様と力を合わせ殺伐であったこのお城を祈祷十字架聖灯の光で....
神鷺之巻」より 著者:泉鏡花
よいよ獲ものに困ずると、極めて内証に、森の白鷺を盗み撃する。人目を憚るのだから、忍びに忍んで潜入するのだが、いや、どうも、我折れた根気のいい事は、朝早くでも、晩....
大菩薩峠」より 著者:中里介山
、盗賊というやつは、先天的に忍術を心得ているのだろう、という者がある。 いや、忍びに妙を得ているから、盗賊がやってみたくなるのだろう、という者もある。 盗賊....
大菩薩峠」より 著者:中里介山
て来ますよ、この三階だけでも三十幾間かあるでしょう、それをいちいちああして、忍び忍びに様子を見ながら、だんだんこちらへ近づいて来る者がありますよ、若い人です、男....
丹下左膳」より 著者:林不忘
きにかけた侍ひとり。その羽織の下からのぞいている平巻きの鞘を見つけると、源十郎は忍びになって、常夜燈のかげへお藤をさし招いた。 「いる」 「いますか……では、与....
丹下左膳」より 著者:林不忘
だ、一つ屋根の下にはりあって、いわば血のなき闘い……ともかく穏便《おんびん》にお忍びになって来られたものを、いまとなってにわかに――」 「馬鹿を言えっ!」 源....
おとずれ」より 著者:国木田独歩
は夏のすでに近きを示すがごとく思われぬ。されど空気は重く湿り、茂り合う葉桜の陰を忍びにかよう風の音は秋に異ならず、木立ちの夕闇は頭うなだれて影のごとく歩む人の類....
光は影を」より 著者:岸田国士
、いつたい、どんなものか? 彼女はひととおり幸福なのか、それとも堪えがたい不幸を忍びに忍んでいるのか? 夫宇治の愛情は、彼女の心をゆたかに満しているのか、或は、....
南国太平記」より 著者:直木三十五
らせようと、あんなことを――) と、しか、思えなかった。叡山で、小太郎の部屋へ忍びに行ったことも、綱手には、月丸の、武士の意地から、としか、考えられなかった。....