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忍び入る
「忍び入る〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
忍び入るの前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「春の盗賊」より 著者:太宰治
いますこし、お金持であったら! それやこれやで、私は、私自身、湖畔の或る古城に
忍び入る戦慄《せんりつ》の悪徳物語を、断念せざるを得なくなった。その古城には、オ....
「右門捕物帖」より 著者:佐々木味津三
れぬ人の世の恋を追う男があって、男禁制の聖禁を犯そうと心がけたら、必ずしも僧房に
忍び入るのが困難ではなく、反対にまた院内の尼僧たちの中において、道ならねど、これ....
「幽霊塔」より 著者:黒岩涙香
為前後も知らず寝て居ますから、後で正気に返った時、若し私に向い、何故に他人の家へ
忍び入る紳士を其のまま帰したかと問わるれば私は一応の返事もせねば成りません。其の....
「地球盗難」より 著者:海野十三
であった。こんな大芝居でもうたなければ、まるで中世紀の城塞のような辻川博士邸内に
忍び入ることはまず不可能だと思われた。学士が潜入した目的は云う迄もないことだが、....
「菊模様皿山奇談」より 著者:三遊亭円朝
賊が手下に話すに、是れは好いものが出来た、戸の枢に塗る時は音がせずに開く、盗みに
忍び入るには妙である至極|宜い物であると申したそうだ、同じ水飴でも見る人によって....
「雪たたき」より 著者:幸田露伴
者で。」 と答える。 「フム――。そなた等で承知して奪らせよう訳は無いことじゃ。
忍び入ることなどは叶わぬようにしてもあるし、又物騒の世なれば、二人三人の押入り者....
「大菩薩峠」より 著者:中里介山
なんとする手燭を袖屏風《そでびょうぶ》にして、また一足、また一足、怖い人穴の中へ
忍び入るような足どりも、愛するもののため故の勇気で、その愛するものというのが、人....
「大菩薩峠」より 著者:中里介山
の身分ありそうな武士です。多少の身分のありそうな武士が、こんな挙動をして人の家に
忍び入るのは似合わしからぬことであります。けれども似合わしからぬことを敢てせねば....
「大菩薩峠」より 著者:中里介山
どういう秘密が行われているか、わかるべきはずはない。多分、あの境内《けいだい》に
忍び入るには、どの口から向ったのが有利か、それを研究しているのでしょう。 一方....
「明治開化 安吾捕物」より 著者:坂口安吾
然のことでありました。私はみたし得ぬ心に足おもく別館へ戻りました。すると、別館に
忍び入る意外な人物を見出しました。それは言うまでもなく木々彦であります。私は誰何....
「空家の冒険」より 著者:ドイルアーサー・コナン
人の鋭い感覚が、敏く識取していたものを、私の感覚も受け取った。すなわち低い低い、
忍び入るような音が、私の耳の底にかすかに響く、――しかもそれは、ベーカー街の方か....
「地上」より 著者:島田清次郎
あつかいながら、ひとり静かに坐っていた。冷え冷えとした川風がせせらぎの音に連れて
忍び入る。冬子は寧ろ厳粛な、気は澄みわたり、あの鼓を打つときの入神さを感じていた....
「罠に掛った人」より 著者:甲賀三郎
一廻りしては又家の前に来た。 夜は次第に更けて、寒さはいよいよ増して来た。が、
忍び入るべき機会は少しも彼に与えられなかった。けれども彼の勇気は容易にひるまなか....
「レモンの花の咲く丘へ」より 著者:国枝史郎
執念の蛇の血は、心地よき流れとなりて、俺が弾ずる琴の糸からあふれ出て、お前の心へ
忍び入る。心のかなめはかき乱され、肉は熱く戦慄て……お前の顔は笑み崩れる。(大声....
「活人形」より 著者:泉鏡花
撲り潰さむと犇くにぞ、その時敵は二人なれば、蹴散らして一度退かむか、さしては再び
忍び入るにはなはだ便り悪ければ、太く心を痛めしが、あたかも好し得右衛門がこの折門....