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忍び忍び
「忍び忍び〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
忍び忍びの前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「邪宗門」より 著者:芥川竜之介
それらしい事を口に出して、仰有《おっしゃ》った例《ためし》はございません。しかし
忍び忍びに御姫様の御顔を拝みに参ります事は、隠れない事でございますから、ある時、....
「或る女」より 著者:有島武郎
ぼりとよりかかって、海を見入っていた。葉子はいたずら者らしくそっと足音を盗んで、
忍び忍び近づいて、いきなり岡と肩をすり合わせるようにして立った。岡は不意に人が現....
「半七捕物帳」より 著者:岡本綺堂
って出るところを一度も見たことはないのであった。禁断を犯す仕事であるから、二人は
忍び忍びに家を出て、どんど橋のわきで落ち合うことになっていたように聴いていると彼....
「霜凍る宵」より 著者:近松秋江
の路次裏の方へ行く道順である。私は、母親をやり過しておいて、七、八間も後れながら
忍び忍び蹤いてゆくと、幾つもある廻り角を曲ってだんだんこの間の家の方へ近づいて行....
「八ヶ嶽の魔神」より 著者:国枝史郎
ました。それをどうして知ったものか九州|天草や南海の国々から天帝を信じる尼様達が
忍び忍びにおいでなされ、お姫様と力を合わせ殺伐であったこのお城を祈祷十字架聖灯の....
「大菩薩峠」より 著者:中里介山
歩いて来ますよ、この三階だけでも三十幾間かあるでしょう、それをいちいちああして、
忍び忍びに様子を見ながら、だんだんこちらへ近づいて来る者がありますよ、若い人です....
「源氏物語」より 著者:紫式部
なって、源氏から来た歌の紙の端に、 うつせみの羽《は》に置く露の木《こ》隠れて
忍び忍びに濡《ぬ》るる袖《そで》かな こんな歌を書いていた。....
「源氏物語」より 著者:紫式部
聞きましたか。ひどい人だ。『河口の』(河口の関のあら垣や守れどもいでてわが寝ぬや
忍び忍びに)と私は返しに謡いたかった」 女はあらわな言葉に羞恥を感じて、 「浅....
「源氏物語」より 著者:紫式部
頭を賜わった。普通の家の新郎の扱い方に少しも変わらないのであった。それからのちは
忍び忍びに藤壺へ薫は通って行った。心の中では昔のこと、昔にゆかりのある人のことば....
「妾の半生涯」より 著者:福田英子
受けじとて、堅く心に決しければ、人々には少しも気分に障りなき旨を答え、胸の苦痛を
忍び忍びて、ひたすら母上の全快を祈るほどに、追々|薄紙《はくし》を剥《は》ぐが如....
「南国太平記」より 著者:直木三十五
田が、立上った。
「夜更けゆえ、提灯などつけては、目立っていかん。それを心得て、
忍び忍びに、集まって参るよう、申しつけてもらいたい。こちらから参る者も、十分に、....
「顎十郎捕物帳」より 著者:久生十蘭
へ投げいれ、行灯を吹きけして勝手へはいり、障子のかげで息を殺す。 軽い足音は、
忍び忍び格子戸の前まで近づいて来て、しばらくそこで躊躇《ためら》うようすだったが....
「奇巌城」より 著者:菊池寛
ルレはバルメラ男爵に縋ろうとしてふと見ると、驚いたことにはバルメラ男爵は、闇黒を
忍び忍び先へ進んでいる。しかも番人の男のすぐ近くまで進んでいっている。 ふいに....
「鳴門秘帖」より 著者:吉川英治
しい心を伏し拝みながら、桐油紙ぐるみの脇差を袖にかかえ、万吉と一緒にその路次から
忍び忍びに歩きだした。 ひとりになった。 もう親のない一人ぽッち。 女|掏....
「私本太平記」より 著者:吉川英治
しへ、駈けちごうているだけのこと!」 「こちらに計りあるものと恐れてか、べつに、
忍び忍び、這い近づいて来るわずかな兵が見えるばかり……」 「火の手は、部落はずれ....