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忍び泣き
「忍び泣き〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
忍び泣きの前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「或恋愛小説」より 著者:芥川竜之介
を噛んだまま、ピアノばかり見つめている。妙子は戸の外に佇《たたず》んだなりじっと
忍び泣きをこらえている。――その後《のち》二月《ふたつき》とたたないうちに、突然....
「妖婆」より 著者:芥川竜之介
たんです。」と、怨《うら》めしそうにつけ加えると、急に袂《たもと》を顔へ当てて、
忍び泣きに咽《むせ》び入りました。そう云う内にも外の天気は、まだ晴れ間も見えない....
「星座」より 著者:有島武郎
箸の上げおろしにも笑いさいなまれ、枕につくたびごとに、家恋しさと口惜しさのために
忍び泣きで通した半年ほど。貰った給金は残らず家の方に仕送って家からたまに届けてよ....
「新生」より 著者:島崎藤村
隅《すみ》の方へ立って行って、自分の袖で自分の声を抑《おさ》えるようにしながら、
忍び泣きに泣いた。
その翌朝節子が人形を風呂敷包の中に潜ませて谷中の方へ帰って....
「幽霊塔」より 著者:黒岩涙香
私は最う立って居る力もありません」とて顔を叔父の胸の辺へ隠した、確かに声を呑んで
忍び泣きに泣いて居る、何で泣くやら分らぬが多分は今夜の様々の心配に神経が余り甚く....
「半七捕物帳」より 著者:岡本綺堂
なかにも目じるしの槐の大樹のかげに隠れて、二人は内の様子をうかがうと、内には女の
忍び泣きの声がきこえた。毀れかかった雨戸の隙間から覗くと、うす暗い行燈の下に赤裸....
「古事記物語」より 著者:鈴木三重吉
郎女よ。ひどく泣くと人が聞いて笑いそしる。羽狹の山のやまばとのように、こっそりと
忍び泣きに泣くがよい」という意味の歌をお歌いになりました。 穴穂王は、軽皇子を....
「天守物語」より 著者:泉鏡花
探り)姫君、どこにおいでなさいます。私は目が見えなくなりました。姫君。 夫人 (
忍び泣きに泣く)貴方、私も目が見えなくなりました。 図書 ええ。 夫人 侍女たち....
「万葉秀歌」より 著者:斎藤茂吉
めに苦しんで、慰めん手段もなく、雲隠れに貌も見えず鳴いてゆく鳥の如く、ただ独りで
忍び泣きしてばかりいる、というので、長歌の終に、「彼に此に思ひわづらひ、哭のみし....
「桜の園」より 著者:神西清
スカヤ夫人、三番目はアーニャと郵便官吏、四番目はワーリャと駅長、等々。ワーリャは
忍び泣きに泣いており、踊りながら涙をふく。最後の組にドゥニャーシャ。 みなみな客....
「仇討姉妹笠」より 著者:国枝史郎
、搦み合うようにして抱き合って、頬と頬とをピッタリ付けて、烈しい感情の昂奮から、
忍び泣きの音を洩らしている姿は、美しくもあれば妖しくもあった。 築山の裾に茂っ....
「レモンの花の咲く丘へ」より 著者:国枝史郎
、水に濡れた大きい岩と、そして女子の頬を伝う二筋の涙とを白く照らしていた。女子は
忍び泣きに泣きながら、片手に赤い薔薇の花を持ち、それを高く振りかざし、地平線の辺....
「狐」より 著者:岡本かの子
もしその辺に居らば一つ鳴いて見ろ、これ女狐…… おかん、藪の中にて袂を食いしばり
忍び泣きを我慢しつつ ――は、はい……こん……こん。 ――どうだ二見氏。 ――妙....
「長崎の鐘」より 著者:永井隆
。抱き寝の茅乃がしきりに乳をさぐる。さぐりさぐって父だと気づいたか、声をころして
忍び泣きを始めた。泣きながらやがてまた寝息にかわる。私だけじゃない。この原子野に....
「古事記」より 著者:太安万侶
カルのお孃さん。 あんまり泣くと人が氣づくでしよう。 それでハサの山の鳩のように
忍び泣きに泣いています。 また歌われた歌は、 空飛ぶ雁《かり》、そのカルの....