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「忍び込む〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す

忍び込むの前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
玉藻の前」より 著者:岡本綺堂
れが息もつかずに夜まで続いたので、そこらには篝火《かがりび》が焚かれた。木の間へ忍び込む夜風にその火がゆれなびいて、五色の影を時どきに暗く隠すかと思うと、又明か....
半七捕物帳」より 著者:岡本綺堂
は置かれないということになったんです。そこで九月二十日の夜なかに、年造が裏口から忍び込む。その露路は抜け裏になっているので、こういう時には都合がいい。安普請《や....
電気風呂の怪死事件」より 著者:海野十三
窺ったのち、午前十時頃、由蔵の隙を窺ってその部屋から天井裏に忍び込んだ。彼が斯く忍び込むまでには、充分の用意と研究が積まれてあったことは勿論である。彼は、先ず汽....
渾沌未分」より 著者:岡本かの子
きの用心に、いつものように入口に鍵をかけ、電燈を消して、蚊帳の中に這入り、万一|忍び込むものがあるときの脅しに使う薄荷入りの水ピストルを枕元へ置いた。小初は横に....
半七捕物帳」より 著者:岡本綺堂
いだには、くぐり込むだけの隙間が容易に見いだされたので、彼は体を小さくして堂内に忍び込むと、こおろぎは俄かに啼き止んだ。試みに石像を揺すってみると、像は三尺あま....
神秘昆虫館」より 著者:国枝史郎
せんよ。こうも厳重に私達が、お守りをしているのですからね。それにお山は要害堅固、忍び込むことなんか出来ません」 「ところがそうばかりも云えないようだよ」いよいよ....
世界怪談名作集」より 著者:岡本綺堂
はすでに近づいていた。息づまるような臭気が庭の植物から発散して、あけてある窓から忍び込むようであった。ジョヴァンニは窓をしめて寝床にはいって、美しい花と娘のこと....
世界怪談名作集」より 著者:岡本綺堂
仕事はすぐに済んでしまった。 「これでは妖怪変化ならば知らず、とても人間わざでは忍び込むことも、窓をあけることも出来るものではありませんよ」と、僕は言った。 「....
染吉の朱盆」より 著者:国枝史郎
か歩かなかったか、そいつを調べたに相違ない。三度ばかり屋敷をグルグルと廻わった。忍び込む口を目付けたのだろう。 屋敷へ背を向けてヒョイとかがんだ。はてな? 何....
銅銭会事変」より 著者:国枝史郎
。「これは」と弓之助は吃驚した。「いやこれはありそうなことだ。泥棒の巣窟へ泥棒が忍び込む気遣いはないからな、それで用心しないのだろう」彼は中へはいって行った。玄....
娘煙術師」より 著者:国枝史郎
れるからであった。 で、今夜も見には来たが、やはり土塀を乗り越して、屋敷の中へ忍び込む気には、どのように努めてもならなかった。 「チェッ」と代官松は舌打ちをし....
奇巌城」より 著者:菊池寛
った。 初めは断っていたバルメラ男爵も、とうとうボートルレ少年と一緒にその城に忍び込むことになった。男爵はその翌日|真赤に錆びた鍵を持ってきてボートルレに見せ....
J・D・カーの密室犯罪の研究」より 著者:井上良夫
は前に挙げたからこの意味はよく判るだろうと思う。ドアには錠がおりていて窓は犯人が忍び込むには狭すぎる、而も被害者は一見部屋の中で刺されたものらしいのに兇器は見当....
活人形」より 著者:泉鏡花
り。屹と心を取直し、丈に伸びたる夏草を露けき袖にて押分け押分けなお奥深く踏入りて忍び込むべき処もやと、彼方此方を経歴るに、驚くばかり広大なる建物の内に、住む人少....
扉の彼方へ」より 著者:岡本かの子
かけるとその隙間から、まず、結婚前のお互の想い出の辛い悲しい侏儒がちろちろと魂に忍び込むことでした。良人にとっては前の妻であろうが、私にとっては珪次の想い出なの....