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「忍苦〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す

忍苦の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
HUMAN LOST」より 著者:太宰治
、われら、「ロマン派の勝利。」という。誇れよ! わがリアリスト、これこそは、君が忍苦三十年の生んだ子、玉の子、光の子である。 この子の瞳の青さを笑うな。羞恥《....
駈込み訴え」より 著者:太宰治
さすがに私も、この弟子たちと一緒に艱難《かんなん》を冒して布教に歩いて来た、その忍苦困窮の日々を思い出し、不覚にも、目がしらが熱くなって来ました。かくしてあの人....
人外魔境」より 著者:小栗虫太郎
行われていない、この地方の地図を完璧なものにしようとするのだ。 しかしそれは、忍苦と自己犠牲の精神に富んだ日本人中の日本人、彼折竹を俟《ま》ってはじめてなし得....
地球発狂事件」より 著者:海野十三
を払いつつ水の圧力と闘ってきたのだ。この聖母マリアの如きゼ号型船は、かかる犠牲と忍苦と研究の支払いによって生まれ出たんだ。ヤクーツク造船所ならでは、何処の造船所....
支倉事件」より 著者:甲賀三郎
ら闇黒な牢獄の中に座して、あらゆる痛苦を征服し、世を呪い人を呪って生きつゞけた、忍苦と生存慾とを思うと、その執念の恐ろしさに戦慄を禁じ得ないと共に、一個の人間と....
正義と微笑」より 著者:太宰治
母さんの看病で終ってしまった、と言っても過言ではなかろう。しかしながら、この永い忍苦は、姉さんにとって、決して無駄ではなかったと思う。姉さんは、僕たちと比較にな....
親友交歓」より 著者:太宰治
な一時的な、ドラマチックなものでは無いような気がする。アトラスの忍耐、プロメテの忍苦、そのようなかなり永続的な姿であらわされる徳のように思われる。しかも前記三氏....
温泉」より 著者:梶井基次郎
にも知らない。この星空も、この闇黒も。虚無から彼らを衛っているのは家である。その忍苦の表情を見よ。彼は虚無に対抗している。重圧する畏怖の下に、黙々と憐れな人間の....
映画雑感(Ⅰ)」より 著者:寺田寅彦
て来て徐々に凝結したものではないかと想像してみた。そう想像することによって隊員の忍苦の長い時間的経過を味わうことができる。 バードが極飛行から無事に屯営に帰っ....
連環記」より 著者:幸田露伴
は即ち娑婆世界の実相である。自分はもう幻影に過ぎなかった愛の世界を失って娑婆即ち忍苦の世界の者となったのみだ、其娑婆に在って又ふたたび幻影の世界を求めて、遅かれ....
続堕落論」より 著者:坂口安吾
夫のゴツゴツ節くれた手だとかツギハギの着物だとか、父から子へ子から孫へ伝えられる忍苦と耐乏の魂の象徴を綴り合せ映せという、なぜなら日本文化は農村文化でなければな....
血液型殺人事件」より 著者:甲賀三郎
忍苦一年 毛沼博士の変死事件は、今でも時々夢に見て、魘されるほど薄気味の悪い出....
大正女流俳句の近代的特色」より 著者:杉田久女
ある。 寒き世や行燈にさす針の音 花讃女 此句もうすぐらい行灯時代の女性の忍苦服従一方の生活を思わせる。 出代も頭巾でゆくや花の頃 園女 元禄時代の....
少年連盟」より 著者:佐藤紅緑
めた。島に二年目の春がおとずれたのだ。天は浅黄色に晴れて綿雲が夢のように浮かぶ。忍苦の冬にたえてきた木々がいっせいに緑の芽をふきだす。土をわって草がかれんな花を....
「黒死館殺人事件」序」より 著者:甲賀三郎
両君ともに、その前身が何となく曖昧模糊としていて、文壇にデビュウするまでに、相当忍苦の年月があり、文学的に相当年期を入れている点が相似ている。そうしてこの点が私....