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「忍辱〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す

忍辱の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
右門捕物帖」より 著者:佐々木味津三
欠かれ、耳はそがれ、目、口、手足、いたるところ無数の傷を負って、あまつさえ慈悲|忍辱《にんにく》のおつむには見るももったいなや、馬の古わらじが一つずつのせてある....
海野十三敗戦日記」より 著者:海野十三
ところあり、また、日本民族の美点と生長とを芟除することになる。 もちろん苦難|忍辱のこの途である。一通りや二通りの覚悟ではつとめ切れない。日記を書くのも反省以....
近時政論考」より 著者:陸羯南
の容易に移流したるは何ぞ恠しむに足らん。おおよそ東洋諸国の風習たるや主として服従忍辱を尚ぶ、その社会の構成は上下層々互いにその上を敬しその下を制しいわゆる上制下....
出家とその弟子」より 著者:倉田百三
くては聖なる恋ではない。我れとわが身をかきむしるのはこの世ながらの畜生道だ。柔和忍辱の相が自然に備わるべき仏の子が、まるで狂乱の形じゃ。 唯円 おゝ。私はどうし....
死体蝋燭」より 著者:小酒井不木
にひれ伏した。しばらく和尚とともに念仏をとなえて、やがて顔をあげると、如来の慈悲忍辱の光顔は、一層柔和の色を増し、暴風雨にも動じたまわぬ崇高さが、かえって法信を....
般若心経講義」より 著者:高神覚昇
かならぬのです。六度とは六|波羅蜜のことで、布施(ほどこし)と持戒(いましめ)と忍辱(しのび)と精進(はげみ)と禅定(おちつき)と般若(ちえ)でありますが、まえ....
みみずのたはこと」より 著者:徳冨健次郎
が糸で頸をしめる。時々は家の主が汗臭い帽子を裏返しにかぶせて日に曝らす。地蔵様は忍辱の笑貌を少しも崩さず、堅固に合掌してござる。地蔵様を持て来た時植木屋が石の香....
新釈諸国噺」より 著者:太宰治
、みずから省みて苦笑の他なく、けれども、かかるせつなき真赤な嘘もまた出家の我慢|忍辱と心得、吉野山のどかに住み易げに四方八方へ書き送り、さて、待てども待てども人....
子をつれて」より 著者:葛西善蔵
いの婆さんとは違った、風流な愛とか人道とか慈くしむとか云ってるから悉くこれ慈悲|忍辱の士君子かなんぞと考えたら、飛んだ大間違いというもんだよ。このことだけは君も....
ピストルの使い方」より 著者:泉鏡花
、銅像の鼻前で、きみの唇を買って、精進坊主を軽蔑してやろうと思ったんだ。慈悲にも忍辱にも、目の前で、この光景を視せられて、侮辱を感じないものは断じてないから。―....
チベット旅行記」より 著者:河口慧海
家の身にも不愉快を感じました。しかしこういう場合に不愉快を感ずるというのは自分の忍辱心が乏しいからで、実に自分はまだ修行が届かぬと不愉快の念を戒めながらジーッと....
仏教人生読本」より 著者:岡本かの子
なわち人格の完成には、現にこの塹壕戦の方法を採っています。研究所や僧院は明らかに忍辱の塹壕です。 常に自分をかえり見て、「今、わたしは塹壕戦の真最中だ、しっか....
エタに対する圧迫の沿革」より 著者:喜田貞吉
肉を食い、その美味を賞したのに少しも不思議はない。また僧侶らの以て重しとする慈悲忍辱の上からこれを云っても、肉食の目的を以て生牛馬を殺してその肉を喰うものと、自....
特殊部落の成立沿革を略叙してその解放に及ぶ」より 著者:喜田貞吉
は人間に益をなす家畜を殺すに忍びぬ、人によく似た高等動物を殺すに忍びぬという慈悲忍辱の心から来たので、その前にはこの類のものでも、遠慮なく殺して喰っておりました....
俗法師考」より 著者:喜田貞吉
併せ考えてみるに、両者その軌を一にしたことは明らかであって、つまりは非人とは慈悲忍辱を主とする法師の義と解すべきものであったと思われるのである。 これを要する....