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忘
「忘〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
忘の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「浅草公園」より 著者:芥川竜之介
う少年を時々叱ったりしないことはない。が、稀《まれ》には彼自身も少年のいることを
忘れたように帽子屋《ぼうしや》の飾り窓などを眺めている。
....
「犬と笛」より 著者:芥川竜之介
前が笛を吹きさえすれば、きっとそこへ帰って来るが、笛がなければ来ないから、それを
忘れずにいるが好い。」
そう言いながら目一つの神は、また森の木の葉をふるわせて....
「一夕話」より 著者:芥川竜之介
時はまだ好《い》いんだ。いよいよメリイ・ゴオ・ラウンドを出たとなると、和田は僕も
忘れたように、女とばかりしゃべっているじゃないか? 女も先生先生といっている。埋....
「或敵打の話」より 著者:芥川竜之介
の菩提《ぼだい》を弔《とむら》っている兵衛の心を酌《く》む事なぞは、二人とも全然
忘却していた。
平太郎の命日は、一日毎に近づいて来た。二人は妬刃《ねたば》を合....
「或日の大石内蔵助」より 著者:芥川竜之介
弥兵衛《ほりべやへえ》、間喜兵衛《はざまきへえ》の六人が、障子にさしている日影も
忘れたように、あるいは書見に耽《ふけ》ったり、あるいは消息を認《したた》めたりし....
「魚河岸」より 著者:芥川竜之介
―ことごとく型を出でなかった。保吉はいよいよ中《あ》てられたから、この客の存在を
忘れたさに、隣にいる露柴《ろさい》へ話しかけた。が、露柴はうんとか、ええとか、好....
「アグニの神」より 著者:芥川竜之介
の顔へ、悲しそうな眼を挙げました。 「今夜ですか?」 「今夜の十二時。好いかえ?
忘れちゃいけないよ」 印度人の婆さんは、脅すように指を挙げました。 「又お前が....
「飯田蛇笏」より 著者:芥川竜之介
は句にするよりも、小説にすれば好いのにとも思った。爾来僕は久しい間、ずっと蛇笏を
忘れていた。 その内に僕も作句をはじめた。すると或時歳時記の中に「死病得て爪美....
「狂女」より 著者:秋田滋
しまった。もう誰ひとり、あの事件を気にとめる者もなかった。だが、僕にはどうしても
忘れられなかった。絶えずそのことばかり考えていた。 兵士たちは一体あの女をどう....
「ある自殺者の手記」より 著者:秋田滋
をこうして逆に辿って行った。私は自分がその名さえ覚えていなかったほど久しい前から
忘れてしまっていた人たちのことを思い出した。その人たちの面影だけが私の心の中に生....
「初雪」より 著者:秋田滋
* * * * *
忘れもしない、彼女がノルマンディーの貴族と結婚させられたのは、四年前のことである....
「良夜」より 著者:饗庭篁村
のが形を示し、棹に砕けてちらめく火影櫓行く跡に白く引く波、見る者として皆な暑さを
忘るる物なるに、まして川風の肌に心地よき、汗に濡れたる単衣をここに始めて乾かした....
「ファラデーの伝」より 著者:愛知敬一
アボットと往復した手紙をして困るというような事も述べてある。ファラデーは随分と物
忘れをして、困ったので、その発端は既にこの時にあらわれている。仕方がないので、後....
「寡婦」より 著者:秋田滋
のでした。私たちはこの少年のからだをサンテーズ家の血が流れているのだということを
忘れていたのです! かれこれ一年の間、こういうことが続きました。ある晩のことで....
「親ごころ」より 著者:秋田滋
い泣いていた。 子供はとうとう見つからなかった。 そこで車大工とその女房は、
忘れようとしても
忘れられない、その悲しみのうちにめッきり老けてしまった。 とう....