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忘失
「忘失〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
忘失の前後の文節・文章を表示しています。該当する11件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「雪之丞変化」より 著者:三上於菟吉
ちの密室から、廊下を隔てた一間に、うない児を抱き寝していた乳母さえ、前後をいかに
忘失したとはいえ、当の長崎屋に、この一家に取っては、何ものにも変えがたい一人息子....
「ドグラ・マグラ」より 著者:夢野久作
貴方の精神意識の状態であると考えられます。正木先生はそのような状態を仮りに『自我
忘失症』と名付けておられましたが……」
「……自我……
忘失症……」
「さようで…....
「梅津只円翁伝」より 著者:杉山萠円
専太郎、杉山灌園(以上仕手、脇方。その他囃子方、狂言方等略) まだこの他に遺漏
忘失が多数ある事と思う。氏名なども間違っている人があるかも知れないが筆者の記憶の....
「エスキス」より 著者:豊島与志雄
大地に対するノスタルジーを
忘失したる児等よ。―― 「冷かな東北の微風、ミルク色の海と湛えた霧のなかに、巖の....
「安吾人生案内」より 著者:坂口安吾
レンなものが存在するもんですよ。我々は、とにかく毎日何時間ずつ完璧に過去も現在も
忘失しつつありますよ。だいたい健全な人間というものが甚しく妙なものであるらしい。....
「汽船が太平洋を横断するまで」より 著者:服部之総
幾場面をもったものかしれないが、これにくらべると汽船のそれは、記録も怪しいくらい
忘失された出来事のように見えて、じつははるかに大掛りなメロドラマだった。 汽船....
「宮本武蔵」より 著者:吉川英治
庵のいった――
(真に生命を愛する者こそ、真の勇者である)
という言葉を決して
忘失してしまっているわけではない。
(この生命!)
そしてまた、
(二度と生れ....
「宮本武蔵」より 著者:吉川英治
つなには愛憎も忘れて、ただ、見まもる気になるのだった。 けれど、それは一瞬の、
忘失的作用にすぎない。すぐ感情は全身をくわっと醒まして、 「うぬ」 「お助太刀」....
「随筆 新平家」より 著者:吉川英治
いたのは、演壇に立っていた間だけだった。 それほど熱演したわけではなく、自分を
忘失していたのである。年に一度の読者へのあいさつだったのに、なんとも不覚なわけだ....
「山の人生」より 著者:柳田国男
地に土着し、わずかずつ下流の人里と交通を試みているうちに、自他ともに差別の観念を
忘失して、すなわち武陵桃源の発見とはなったのであろうと思います。 これを要する....
「みずうみ」より 著者:室生犀星
の肩にかけた手にちからを込めて、抱きついた。が、眠元朗は娘がそう遣ったときから、
忘失してしまったようにからだ全体に重々しい倦るい悲哀をかんじた。かれは先刻とは反....