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「忙中〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す

忙中の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
花燭」より 著者:太宰治
おそろしくいきごんで家へかえり、さて、別にすることもなく、思案の果、家の玄関へ、忙中謝客の貼紙をした。人生の出発は、つねにあまい。まず試みよ。破局の次にも、春は....
虚構の春」より 著者:太宰治
慶賀の至りに存じます。さて今回本紙に左の題材にて貴下の御寄稿をお願い致したく御多忙中恐縮ながら左記条項お含みの上|何卒《なにとぞ》御承引のほどお願い申上げます。....
彼岸過迄」より 著者:夏目漱石
に書いた後で、田口がもう旅行から帰ったかどうかを聞き合わせて、もし帰ったなら御多忙中はなはだ恐れ入るけれども、都合して会ってくれる訳には行くまいか、こっちはどう....
吾輩は猫である」より 著者:夏目漱石
《ぼう》ありでね」 「そう、粗忽《そこつ》だから修業をせんといかないと云うのよ、忙中|自《おのずか》ら閑《かん》ありと云う成句《せいく》はあるが、閑中自ら忙あり....
善蔵を思う」より 著者:太宰治
夜ゆっくり東京のこと、郷里の津軽、南部のことなどお話ねがいたいと存じますので御多忙中ご迷惑でしょうが是非御出席、云々という優しい招待の言葉が、その往復葉書に印刷....
俳諧の本質的概論」より 著者:寺田寅彦
自由な状態であると思われる。思無邪であり、浩然の気であり、涅槃であり天国である。忙中に閑ある余裕の態度であり、死生の境に立って認識をあやまらない心持ちである。「....
御萩と七種粥」より 著者:河上肇
になっていた時代なので、月に一回のこうした清遊は、実に沙漠の中のオアシスであり、忙中の閑日月であって、この上もなく楽しいものに思えた。それは私が一生のうちに見た....
現代哲学講話」より 著者:戸坂潤
時間を意味すべきもので、従って哲学が健全に育つ環境は、只の余暇ではなくて、云わば忙中の余暇でしかあり得ないだろう。 哲学が実際生活を指導する用具でなくて、生活....
困惑の弁」より 著者:太宰治
玄関で追いかえすなどは、とてもできない。私は、そんなに多忙な男でもないのである。忙中謝客などという、あざやかなことは永遠に私には、できないと思う。 僕よりもっ....
小説の内容論」より 著者:豊島与志雄
、作の魂たる現化が問題のうちに完全に取り入れられる。 以上で私の論旨は尽きる。忙中忽卒に筆を走らせたものであり、また出来るだけ簡略にとつとめたものであるから、....
月評をして」より 著者:豊島与志雄
一例として持出したいのは、創作当時に於ける作者の状態を勘定に入れた批評である。多忙中に無理に書いた作品、病中に強いて書いた作品、原稿料のために余儀なく書いた作品....
ピンカンウーリの阿媽」より 著者:豊島与志雄
忙中の小閑、うっとりと物思いに沈む気分になった時、いたずらにペンを執って、手紙で....
大鵬のゆくえ」より 著者:国枝史郎
って信輔があらわれた。 「よう見えられたの吉備彦殿」 「これはこれはご前様。ご多忙中にもかかわらず、お目通りお許しくだされまして、有難い仕合わせに存じます」 ....
幕末維新懐古談」より 著者:高村光雲
けたのでした。 平尾さんの方から人が来て、いよいよ家が四ヶ所見当りました。御多忙中ですが、明朝、主人もその家を見に参りますから、あなたも御一緒にお出でを願って....
漱石氏と私」より 著者:高浜虚子
一年八月十九日(封書) 御書面拝見。『朝日』への短篇遂に御引受のよし敬承。御多忙中さぞかし御迷惑と存候。然しこれにて渋川君は大なる便宜を得たる事と存候。今日「....