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忙殺
「忙殺〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
忙殺の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「葬儀記」より 著者:芥川竜之介
会葬者の宿所を、帳面につけるのもまにあわない。僕はいろんな人の名刺をうけとるのに
忙殺された。
すると、どこかで「死は厳粛である」と言う声がした。僕は驚いた。こ....
「橇」より 著者:黒島伝治
前へ乗りつけられた。馬が嘶きあい、背でリンリン鈴が鳴った。 各中隊は出動準備に
忙殺されていた。しかし、大隊の炊事場では、準備にかえろうともせず、四五人の兵卒が....
「武装せる市街」より 著者:黒島伝治
行された。特務曹長からの注文だったのである。兵士は南軍接近の知らせに、警備手配に
忙殺されていた。 工場の空気は、幹太郎を忌避し、敬遠した。幹太郎自身も、それを....
「祇園の枝垂桜」より 著者:九鬼周造
ぎた。三日目には二、三分通りは花が開いていた。その後は雨に振り込められたり世事に
忙殺されたりして桜のことを忘れていた。思い出して行った午後にはもう青葉まじりにな....
「富岡先生」より 著者:国木田独歩
る岩崎三井の祝事どころではない、大変な騒ぎである。両家は必死になって婚儀の準備に
忙殺されている。 その愈々婚礼の晩という日の午後三時頃でもあろうか。村の小川、....
「可能性の文学」より 著者:織田作之助
「灰色の月」によって復活し、文壇の「新潮」は志賀直哉の亜流的新人を送迎することに
忙殺されて、日本の文壇はいまもなお小河向きの笹舟をうかべるのに掛り切りだが、果し....
「ファラデーの伝」より 著者:愛知敬一
より二、三年間は、主としてデビーの研究を助けたり、デビーやブランドの講義の準備に
忙殺されていたが、多少の研究は出した。すなわち、毛細管よりガスの流出することに関....
「人間山中貞雄」より 著者:伊丹万作
わり面会に来るので、その下士官室は大変混雑していた。山中自身もすくなからず応接に
忙殺されている形であつたので、長くはいずに帰つたが、この日の山中は元気がよかつた....
「青春の息の痕」より 著者:倉田百三
のではないかと思うのである。 なぜなら今は世をあげて、戦争や経済的改組の問題に
忙殺されているように見えるが、やがて日本にも、世界にも新しき神学的時代が来ねばな....
「年賀郵便」より 著者:岡本綺堂
治三十七、八年の日露戦争以来いよいよ激増して、松の内の各郵便局は年賀郵便の整理に
忙殺され、他の郵便事務は殆ど抛擲されてしまうような始末を招来したので、その混雑を....
「二葉亭四迷の一生」より 著者:内田魯庵
加減に書擲ったものではないだろうが、三方四方の不平不満が一時に殺到する心的葛藤に
忙殺されていては、虚心|坦懐に沈着いて推敲鍜練していられないのが当然であった。恐....
「城」より 著者:カフカフランツ
ことはできないでいます。彼は城から下りてくることができないんです。仕事にあまりに
忙殺されているんです。人の話によると、彼の部屋はこんなふうだということです。どの....
「審判」より 著者:カフカフランツ
ことは、全然考えてもみなかった。Kは思い出したが、ある午前のこと、ちょうど仕事で
忙殺されていたとき、突然書類をみなわきへ押しのけて、用箋綴りを取上げ、試みにあの....
「快走」より 著者:岡本かの子
するなんて、よくよく屈托したからなんだろう。俺だって毎日遅くまで会社の年末整理に
忙殺されてると、何か突飛なことがしたくなるからね。それより俺は、娘の友達が言って....
「美食多産期の腹構え」より 著者:北大路魯山人
なのだ。 寒中ともなれば、数知れずと言いたいまで美食がせまって来て、その楽事に
忙殺される。中形のふぐを食うのも口福の大なるもの。京のたけのこ、冬眠のスッポン、....