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快い
「快い〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
快いの前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「偸盗」より 著者:芥川竜之介
》に、下から何度もかみついたのを感じた。それが、彼の復讐心《ふくしゅうしん》に、
快い刺激を与えたのは、もちろんである。が、それにつれて、彼はまた、ある名状しがた....
「影」より 著者:芥川竜之介
煙っている、まだ花盛りの夾竹桃《きょうちくとう》は、この涼しそうな部屋の空気に、
快い明るさを漂《ただよ》わしていた。
壁際《かべぎわ》の籐椅子《とういす》に倚....
「或日の大石内蔵助」より 著者:芥川竜之介
、早水藤左衛門の逞しい姿が、座敷の中へはいって来なかったなら、良雄はいつまでも、
快い春の日の暖さを、その誇らかな満足の情と共に、味わう事が出来たのであろう。が、....
「路上」より 著者:芥川竜之介
なピアノの響、伏目になった辰子の姿――ポオト・ワインに暖められた心には、そう云う
快い所が、代る代る浮んだり消えたりした。が、やがて給仕女が一人、紅茶を持って来た....
「素戔嗚尊」より 著者:芥川竜之介
よった後《のち》この危害の惧《おそれ》のない、暖な洞穴に坐っているのは、とにかく
快いには違いなかった。
「妹たちは大勢いるのか。」
「十六人居ります。――ただ今....
「或る女」より 著者:有島武郎
然の姿も目に映らない。ただ涼しい風がそよそよと鬢《びん》の毛をそよがして通るのを
快いと思っていた。汽車は目まぐるしいほどの快速力で走っていた。葉子の心はただ渾沌....
「或る女」より 著者:有島武郎
二二
どこかから菊の香がかすかに通《かよ》って来たように思って葉子《ようこ》は
快い眠りから目をさました。自分のそばには、倉地《くらち》が頭からすっぽりとふとん....
「カインの末裔」より 著者:有島武郎
山道を上手に拾いながら歩いて行った。馬車はかしいだり跳ねたりした。その中で彼れは
快い夢に入ったり、面白い現《うつつ》に出たりした。
仁右衛門はふと熟睡から破ら....
「星座」より 著者:有島武郎
見詰めていた。おぬいはそれを幾度も幾度も自分の頬に押しあてた。冷たいガラスの面が
快い感触をほてった皮膚に伝えた。おぬいはその感触に甘やかされて、今度は写真を両手....
「親子」より 著者:有島武郎
んな噂をして聞かせたかがいろいろに想像されていた。それが彼にとってはどれもこれも
快いと思われるものではなかった。彼は征服した敵地に乗り込んだ、無興味な一人の将校....
「惜みなく愛は奪う」より 著者:有島武郎
ては何等の意味もなき音声、それを組合せてその中に愛を宿らせる仕事はいかに楽しくも
快いことであろうぞ。それは人間の愛をまじり気なく表現し得る楽園といわなければなら....
「クララの出家」より 著者:有島武郎
基督の姿が厳かに見やられた。クララは有頂天になった。全身はかつて覚えのない苦しい
快い感覚に木の葉の如くおののいた。喉も裂け破れる一声に、全身にはり満ちた力を搾り....
「トロッコ」より 著者:芥川竜之介
中の一人、――縞のシャツを着ている男は、俯向きにトロッコを押したまま、思った通り
快い返事をした。 「おお、押してくよう」 良平は二人の間にはいると、力一杯押し....
「初雪」より 著者:秋田滋
相かわらず微かな笑みをうかべながら、その封を切って、それを読みだした。 日ましに
快いほうへ向ってくれればと、そればかりを念じている次第だ。お前も早くここへ帰って....
「スリーピー・ホローの伝説」より 著者:アーヴィングワシントン
タッセルのやさしい、かわいい、ぽちゃぽちゃした手だ。 こんなふうに、いろいろな
快い思いや、「甘い空想」に胸をいっぱいにしながら、彼は山なみの斜面を進んでいった....