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忰
「忰〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
忰の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「お律と子等と」より 著者:芥川竜之介
笑した。
「この頃は弟さんに御眼にかかると、いつも試験の話ばかりです。やはり宅の
忰《せがれ》なんぞが受験準備をしているせいですな。――」
戸沢は台所を通り抜け....
「国貞えがく」より 著者:泉鏡花
さた》見舞に来ていたろう。この婆《ばばあ》は、よそへ嫁附《かたづ》いて今は産んだ
忰《せがれ》にかかっているはず。
忰というのも、煙管《きせる》、簪《かんざし》、同....
「婦系図」より 著者:泉鏡花
野の母親と云う女性。 黒の紋羽二重の紋着羽織、ちと丈の長いのを襟を詰めた後姿。
忰が学士だ先生だというのでも、大略知れた年紀は争われず、髪は薄いが、櫛にてらてら....
「貝の穴に河童の居る事」より 著者:泉鏡花
塚の森の中で、古案山子を剥いだでしゅ。」 「しんびょう、しんびょう……奇特なや、
忰。……何、それで大怪我じゃと――何としたの。」 「それでしゅ、それでしゅから、....
「鷭狩」より 著者:泉鏡花
に恩人なんです。生命の親とも思う恩人です。その大恩のある鷭の一類が、夫も妻も娘も
忰も、貸座敷の亭主と幇間の鉄砲を食って、一時に、一百二三十ずつ、袋へ七つも詰込ま....
「草迷宮」より 著者:泉鏡花
縞柄も気のせいか、逢魔が時に茫として、庄屋様の白壁に映して見ても、どれが孫やら、
忰やら、小女童やら分りませぬ。 おなじように、憑物がして、魔に使われているよう....
「陽炎座」より 著者:泉鏡花
おろして、兄さんがその鍵を握って寝たんだっていうんですもの。」 「ははあ、重役の
忰に奉って、手繰りつく出世の蔓、お大事なもんですからな。……会社でも鍵を預る男だ....
「政談十二社」より 著者:泉鏡花
赤羽の停車場から四人|詰ばかりの小さい馬車が往復しまする。岩淵の渡場手前に、姉の
忰が、女房持で水呑百姓をいたしておりまして、しがない身上ではありまするけれど、気....
「露肆」より 著者:泉鏡花
れたのを捻って穿いて、ずんぐりむっくりと肥ったのが、日和下駄で突立って、いけずな
忰が、三徳用大根|皮剥、というのを喚く。 五 その鯉口の両肱を突....
「黒百合」より 著者:泉鏡花
の娘がある、美人じゃ。貴様知ってるだろう、あれがな、次助というて、近所の鋳物師の
忰と出来た。先月の末、闇の晩でな、例のごとく密行したが、かねて目印の付いてる部じ....
「醜い家鴨の子」より 著者:アンデルセンハンス・クリスチャン
、一|匹の牡猫と、一|羽の牝鶏とが住んでいるのでした。猫はこの女御主人から、 「
忰や。」 と、呼ばれ、大の御ひいき者でした。それは背中をぐいと高くしたり、喉をご....
「荒蕪地」より 著者:犬田卯
一 「……アレは、つまり、言ってみれば、コウいうわけあいがあるンで……」 戦地から来た
忰の手紙に、思いきって、いままで
忰へ話さずにいたことを余儀なく書き送ろうと、こた....
「瘤」より 著者:犬田卯
それにしても村人にとってこれは一つの「伝統」であった。反津本派で通った親父の
忰も、同様に反津本派でなければならぬ。そして全村内で反津本派と目されているのは、....
「註文帳」より 著者:泉鏡花
塔婆に挨拶をして来やあがる。そんな奴も差配内になくッちゃあお祭の時幅が利かねえ。
忰は稼いでるし、稲荷町の差配は店賃の取り立てにやあ歩行かねえッての、むむ。」と大....
「卵塔場の天女」より 著者:泉鏡花
怯えたもんですぜ。私が九ツ十ウくらいの時まで、其奴が伯父伯母の姪の婿の嫁入さきの
忰の孫の分家の新屋だというのを、ぞろぞろと引率して、しなくも可い、別院へ信心参り....