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念を押す
「念を押す〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
念を押すの前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「母」より 著者:芥川竜之介
女はちょいとためらったものの、それ以上立ち入っては答えなかった。が、もう一度
念を押すように、同じ言葉を繰り返した。
「いけなくって、どうしても?」
今度は....
「邪宗門」より 著者:芥川竜之介
すごろく》を御打ちになった時、
「この頃は笙も一段と上達致したであろうな。」と、
念を押すように仰有《おっしゃ》ると、若殿様は静に盤面《ばんめん》を御眺めになった....
「開化の良人」より 著者:芥川竜之介
《たず》ねました。三浦は依然として静な調子で、『君こそ万事を知っていたのか。』と
念を押すように問い返すのです。私『万事かどうかは知らないが、君の細君と楢山《なら....
「黒衣聖母」より 著者:芥川竜之介
むけい》な怪談ではあるまい。――
「ほんとうですか。」
私が再《ふたたび》こう
念を押すと、田代君は燐寸《マッチ》の火をおもむろにパイプへ移しながら、
「さあ、....
「黄粱夢」より 著者:芥川竜之介
。」
盧生《ろせい》は、じれったそうに呂翁の語《ことば》を聞いていたが、相手が
念を押すと共に、青年らしい顔をあげて、眼をかがやかせながら、こう云った。
「夢だ....
「魔術」より 著者:芥川竜之介
ければ。」
それでもミスラ君は疑わしそうな眼つきを見せましたが、さすがにこの上
念を押すのは無躾《ぶしつけ》だとでも思ったのでしょう。やがて大様《おおよう》に頷....
「お律と子等と」より 著者:芥川竜之介
ただ今電話をかけさせました。――すぐに上《あが》るとおっしゃったね。」
賢造は
念を押すように、慎太郎の方を振り返った。慎太郎はまだ制服を着たまま、博士と向い合....
「路上」より 著者:芥川竜之介
のある微笑を漂わせながら、
「おまけにすばらしい美人を二人連れて来ている。」と、
念を押すようにつけ加えた。
が、俊助は何とも答えなかった。そうして今までよりは....
「三右衛門の罪」より 著者:芥川竜之介
みましたか、しかとしたことはわかりませぬ。」
治修はちょいと考えた後《のち》、
念を押すように尋ね直した。
「何もそちには覚えはないか?」
「覚えと申すほどのこ....
「秋山図」より 著者:芥川竜之介
が原因だかわかりません。が、とにかく妙な気がしますから、ついあなたのご賞讃にも、
念を押すようなことになったのです」
しかしその時の煙客翁は、こういう主人の弁解....
「妖婆」より 著者:芥川竜之介
蔵の方は笑う所の騒ぎじゃなく、「じゃ石河岸ときまったんだね。」と、もどかしそうに
念を押すと、仕方がないから、そうきめて置いた、時間は六時と七時との間、用が済んだ....
「親子」より 著者:有島武郎
つもりらしく質問をしかけている父は、しばしば背負い投げを食わされた形で、それでも
念を押すように、 「はあそうですか。それではこの件はこれでいいのですな」 と附....
「隣の嫁」より 著者:伊藤左千夫
謝罪には、母もその上しかりようないが、なお母は政さんにもそれと響くよう満蔵に強く
念を押す。 「ねい満蔵、ちょっとでもそんなうわさを立てられると、おとよさんのため....
「春の潮」より 著者:伊藤左千夫
極な所だからきめてしまってもよいと思ったけど、お前はむずかしやだからな、こうして
念を押すのだ。異存はないだろう」 まだおとよは黙ってる。父もようやく娘の顔色に....
「伯爵の釵」より 著者:泉鏡花
は慰みに、これから漕出そうとする処だった。……お前さんに漕げるかい、と覚束なさに
念を押すと、浅くて棹が届くのだから仔細ない。ただ、一ケ所底の知れない深水の穴があ....