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念頭
「念頭〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
念頭の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「偸盗」より 著者:芥川竜之介
晴れした微笑を、口角に漂わせながら、昂然《こうぜん》として、馬を駆った。
彼の
念頭には、沙金がある。と同時にまた、次郎もある。彼は、みずから欺く弱さをしかりな....
「戯作三昧」より 著者:芥川竜之介
方へ押し流そうとした。が、彼の前には水滸伝がある。不安はそれを中心にして、容易に
念頭を離れない。そこへ折よく久しぶりで、崋山渡辺登《かざんわたなべのぼる》が尋ね....
「開化の良人」より 著者:芥川竜之介
の耳へ口をつけて、そっと昔の話を囁いてくれる。――そんな怪しげな考えがどうしても
念頭を離れないのです。殊に今の洋服を着た菊五郎などは、余りよく私の友だちに似てい....
「或日の大石内蔵助」より 著者:芥川竜之介
杯の屠蘇《とそ》に酔って、「今日も春恥しからぬ寝武士かな」と吟じた、その句がふと
念頭に浮んだからである。句意も、良雄《よしかつ》が今感じている満足と変りはない。....
「素戔嗚尊」より 著者:芥川竜之介
と》で一ぱいであった。が、その嫉妬の浅間《あさま》しさなどは、寸毫《すんごう》も
念頭には上《のぼ》らなかった。
ある夜彼がまた洞穴の奥に、泣き顔を両手へ埋《う....
「二つの手紙」より 著者:芥川竜之介
ルゲンゲルを現そうとは、意志しなかったのに相違ございません。しかし、私の事は始終
念頭にあったでございましょう。あるいは私とどこかへ一しょに行く事を、望んで居った....
「忠義」より 著者:芥川竜之介
「主《しゅう》」に関る大事として惧れたのである。
勿論、「家」と云う事も、彼の
念頭には上《のぼ》っていた。が、変があるにしてもそれは単に、「家」を亡すが故に、....
「藪の中」より 著者:芥川竜之介
なり》に打ち殺されても、この女を妻にしたいと思いました。妻にしたい、――わたしの
念頭《ねんとう》にあったのは、ただこう云う一事だけです。これはあなた方の思うよう....
「或る女」より 著者:有島武郎
計らずも目の前に陸影を見つけ出して、思わず足を止めた。そこには十日《とおか》ほど
念頭から絶え果てていたようなものが海面から浅くもれ上がって続いていた。葉子は好奇....
「或る女」より 著者:有島武郎
から、葉子の住所さえわかれば尋ねて来ないはずはないのだが、倉地にはそんな事はもう
念頭になくなってしまったらしい。だれも来るなと願っていた葉子もこのごろになってみ....
「広津氏に答う」より 著者:有島武郎
の種類に属する芸術家は階級意識に超越しているから、私の提起した問題などはもとより
念頭にあろうはずがない。その人たちにとっては、私の提議は半顧の価値もなかるべきは....
「生まれいずる悩み」より 著者:有島武郎
生命から見放されてしまっているのだ。こんな瞬間に限っていつでもきまったように私の
念頭に浮かぶのは君のあの時の面影だった。自分を信じていいのか悪いのかを決しかねて....
「薄紅梅」より 著者:泉鏡花
て、すぐに引込む筈である。 従って一行三人には、目に留めさせるまでもなければ、
念頭に置かせる要もない。 「あれが仮に翠帳における言語にして見ろ。われわれが、も....
「霊界通信 小桜姫物語」より 著者:浅野和三郎
な、随分惨たらしい仕打なのでございます。幽明の交通を試みらるる人達は常にこの事を
念頭に置いて戴きとう存じます。そんな訳で、私の通信は、主に私がこちらの世界へ引移....
「墓」より 著者:秋田滋
、かつてベルトランという一軍曹によって犯された身の毛のよだつような行為を傍聴人の
念頭にまざまざと想い起させて、頻りにその感情を刺戟した。忿怒の身顫いが傍聴人たち....