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忸
「忸〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
忸の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「侏儒の言葉」より 著者:芥川竜之介
臨んで姓名を告げるのを例としていた。書生は始めて益軒を知り、この一代の大儒の前に
忸怩《じくじ》として先刻の無礼を謝した。――こう云う逸事を学んだのである。
当....
「船」より 著者:島崎藤村
言ってめずらしがれば、お新も同じように彼を呼んで、まるで親身の妹かなんぞのように
忸々《なれなれ》しく彼の傍へ来た。 彼は菖蒲田《しょうぶだ》の海岸の方へ娘達を....
「岩石の間」より 著者:島崎藤村
待受けた。 「高瀬さん、私も小諸の土に成りに来ましたよ」 と学士は今までにない
忸々《なれなれ》しい調子で話し掛けて、高瀬と一緒に石垣|側《わき》の段々を貧しい....
「新生」より 著者:島崎藤村
総領|子息《むすこ》だ。
「こう寒くちゃ、舟もお仕舞《しまい》だね」
と岸本も
忸々《なれなれ》しく言った。彼は十五六ばかりになるその少年を小舟に乗る時の相手と....
「黒死館殺人事件」より 著者:小栗虫太郎
に隠すことなんて出来るものじゃない」
「うん、まさに小気味よい敗北さ。実は、僕も
忸怩となっているところなんだよ」法水は何故か伏目になって、神経的な云い方をした。....
「千曲川のスケッチ」より 著者:島崎藤村
すこしは多く米を持って行けと注意してくれた人だ。W君はこの人達と懇意で、話し方も
忸々しい。 米を入れた頭陀袋、牛肉の新聞紙包、それから一かけの半襟なぞが、土産....
「家」より 著者:島崎藤村
紙を受取った頃は、何となく空気も湿って秋めいて来た。お俊は叔父の側へ来て、余計に
忸々しく言葉を掛けた。 「叔父さん、今|何事も用が有りませんが、肩が凝るなら、按....
「般若心経講義」より 著者:高神覚昇
つつ、般若を説きつつ、しかもいまだ真に般若を、自分を省みるとき、私は内心まことに
忸怩たるものがあるのであります。「道は多い、されど汝の歩むべき道は一つ」だといい....
「錦染滝白糸」より 著者:泉鏡花
村越 ま、まあ、御老人。 七左 いや、まず……先生。 村越 先生は弱りました。(
忸怩たり)では書生流です、御案内。 七左 その気象! その気象! 撫子。出迎えん....
「唇草」より 著者:岡本かの子
点火してやったのだ。 想えばいじらしい相手だ。尾佐はいまどこで寂しい白日の酒を
忸怩として飲んでいるであろうか。 栖子の両手の指先きが、つやつやした豆莢の厚い....
「将来の日本」より 著者:田口卯吉
欲す。その小成に安んずるをおそるるなり。今君は弱冠にして奇功多し。願わくは他日|
忸れて初心を忘るるなかれ。余初めて書を刊して、またいささか戒むるところあり。今や....
「三人の訪問者」より 著者:島崎藤村
「貧」が訪ねて来た。 子供の時分からの馴染のような顔付をした斯の訪問者が、復た
忸々しく私の側へ来た。正直に言うと、この足繁く訪ねて来る客の顔を見る度に、私は「....
「死児を産む」より 著者:葛西善蔵
ところだったに違いない。自分はその二三句をここに引いてみよう。自分としては非常に
忸怩とした、冷汗を催される感じなんだが。――こうした悪虐な罪人がなお幾年かを続け....
「フレップ・トリップ」より 著者:北原白秋
見えない。土地の美妓も数多見えた。半折や短冊を後から後からと書かされる。初めには
忸怩として差控えたが、酔うに従って書くに従ってただそのことがうれしくてならなくな....
「特殊部落ということについて」より 著者:喜田貞吉
別撤廃を呼号している我が国民として、依然これを放任するという事は、内に省みて自ら
忸怩たるものがなければならぬ筈である。 明治四年にエタ非人なる称号が廃止せられ....