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忽焉
「忽焉〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
忽焉の前後の文節・文章を表示しています。該当する11件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「右門捕物帖」より 著者:佐々木味津三
なあ。ね! どうしたんです。いったいこりゃ、どうしたんです!」 まことにそれは
忽焉《こつえん》として先の日消えてなくなったむっつり右門で、右門は伝六のうれし泣....
「右門捕物帖」より 著者:佐々木味津三
ょに駆け落ちしちまったらしいですよ」 蛸平に、辰に、怪猫と、一瞬に三個の姿が、
忽焉《こつえん》としていずれかへ消滅してしまったものでしたから、いかな捕物名人も....
「右門捕物帖」より 著者:佐々木味津三
た。 子どものかどわかし!――どういう子どもをどこへ売ったか、大きななぞの雲が
忽焉《こつえん》として目の前に舞い下がってきたのです。 女の前身には暗い影があ....
「名人伝」より 著者:中島敦
ならば決して生じなかったに違《ちが》いない道義的|慚愧《ざんき》の念が、この時|
忽焉《こつえん》として湧起《わきおこ》った。飛衛の方では、また、危機を脱《だっ》....
「旗本退屈男」より 著者:佐々木味津三
も好もしくいとも冴えやかなわが早乙女主水之介が、この上もなく退屈げなその姿を再び
忽焉として現したところは、東海道七ツの関のその三ツ目の岡崎女郎衆で名の高いあの三....
「現代唯物論講話」より 著者:戸坂潤
のである。
だがイデオロギーのこの規範性・価値性・は何か不可解な神秘力によって
忽焉としてイデオロギーの上に天下ったのではない。イデオロギーを物質的存在に対立し....
「支那の狸汁」より 著者:佐藤垢石
、ついに禍いわれに及ぶ。遁るべき途なし。 と、泣いて独語したが見る間に、少年は
忽焉として消え失せたという。 使いの者は、そんなことにかまわない。鋸でずこずこ....
「酒徒漂泊」より 著者:佐藤垢石
浮かんできた。 いや、ほんとうはこうして二人から離れ、私ひとり窓のそとの景色に
忽焉としているというのは、そのときのわが姿を、なん年振りかで眼に描いて、なつかし....
「植物一日一題」より 著者:牧野富太郎
者すなわち斯界のオーソリティであったが、六十六歳を一期として胃潰瘍のため吐血し、
忽焉易簀《こうえんえきさく》せられたのは惜しみてもなお余りがある。 君は作州津....
「水晶の栓」より 著者:新青年編輯局
垂帳は豁然として開かれた。彼が今日まで黒暗々裡に、暗中模索に捕われていた迷宮に、
忽焉として一道の光明が現れたのを覚えた。 クラリス・メルジイは確かりした口調で....
「旅の旅の旅」より 著者:正岡子規
かる旅は夢と異なるなきなり。出ずるに車あり食うに肉あり。手を敲《たた》けば盃酒|
忽焉《こつえん》として前に出《い》で財布を敲《たた》けば美人|嫣然《えんぜん》と....