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忽然
「忽然〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
忽然の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「西郷隆盛」より 著者:芥川竜之介
て、それから急に顔を赤らめた。今まで自分のつとめていた滑稽な役まわりが、この時|
忽然《こつぜん》として新しい光に、照される事になったからである。
「もし気に障《....
「仙人」より 著者:芥川竜之介
慣れた李の眼に、見えて来たのであろう。が、彼には、まるで、それが、紙銭の中から、
忽然として、姿を現したように思われた。そこで、彼は、いささか、ぎょっとしながら、....
「二、三羽――十二、三羽」より 著者:泉鏡花
何でもない。時とすると、塀の上に、いま睦じく二羽|啄んでいたと思う。その一羽が、
忽然として姿を隠す。飛びもしないのに、おやおやと人間の目にも隠れるのを、……こう....
「婦系図」より 著者:泉鏡花
知か、承知か、と電話を掛けねえ。柳橋の小芳さん許だ。柏屋の綱次と云う美しいのが、
忽然として顕れらあ。 どうだ、驚いたか。銀行の頭取が肴屋に化けて来たのよ。いよ....
「妖術」より 著者:泉鏡花
いたなりで細りした頤を横にするまで下から覗いた、が、そこからは窮屈で水は見えず、
忽然として舳ばかり顕われたのが、いっそ風情であった。 カラカラと庭下駄が響く、....
「薬草取」より 著者:泉鏡花
紫去り、白過ぎて、蝶の戯るる風情して、偈に斑々と印したのは、はや咲交る四季の花。
忽然として天開け、身は雲に包まれて、妙なる薫袖を蔽い、唯見ると堆き雪の如く、真白....
「草迷宮」より 著者:泉鏡花
よ。」 「今でもその学生が持ってるかね。」 背後から、訓導がまた聞き挟む。 「
忽然として消え失せただ。夢に拾った金子のようだね。へ、へ、へ、」 とおかしな笑....
「薄紅梅」より 著者:泉鏡花
である。 「どこかへいらっしゃる、ちょっと紅茶でも。」 面喰った慌しい中にも、
忽然として、いつぞのむかし吉原の横町の、ずるずる引摺った青い裳と、紅い扱帯と、脂....
「星女郎」より 著者:泉鏡花
っと地の底へ潜った状に、大牛がフイと失せた。…… 失せた……と思う暇もなしに、
忽然として消えたのである。 「や!」 声を出して、三造はきょとんとして、何かに....
「霊界通信 小桜姫物語」より 著者:浅野和三郎
ばしの後で、私が不図側見をした瞬間に、五十|余りと見ゆる一人の神様に附添われて、
忽然として私のすぐ前面に、ありし日の姿を現わしたのでした。 『あッ矢張り元の良人....
「杜子春」より 著者:芥川竜之介
は勿論黙っていました。 と、どこから登って来たか、爛々と眼を光らせた虎が一匹、
忽然と岩の上に躍り上って、杜子春の姿を睨みながら、一声高く哮りました。のみならず....
「雪霊続記」より 著者:泉鏡花
――前へ!」 入口が背後にあるか、……吸わるるように消えました。 と思うと、
忽然として、顕れて、むくと躍って、卓子の真中へ高く乗った。雪を払えば咽喉白くして....
「三枚続」より 著者:泉鏡花
最後の戦を宣告されたように呶々している、忌むべき宵啼の本体が、十間とは間を措かず
忽然として顕れたのであったから。 あまつさえ這個の怪禽は、月ある町中へつッ立つ....
「式部小路」より 著者:泉鏡花
(当てて御覧)がなかったら、火の玉は転がって、格子の外へ飛んだであろう。 が、
忽然として青天、急にその膝へ抱き上げられたように感じた。ただし不意を喰ったから、....
「註文帳」より 著者:泉鏡花
だ。夜が更けてみな、油に燈心だから堪るめえじゃねえか、恐しい。名代部屋の天井から
忽然として剃刀が天降ります、生命にかかわるからの。よ、隣のは筋が可いぜ、はんぺん....