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「怒気〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す

怒気の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
偸盗」より 著者:芥川竜之介
むと、とっさに老人の右の手をつかんで、苦もなく瓶子《へいし》をもぎはなしながら、怒気を帯びて、一喝《いっかつ》した。 「何をする?」 太郎の鋭いこのことば、た....
或る女」より 著者:有島武郎
上がって来た。人々はまたその早業《はやわざ》に驚いて目を見張った。 葉子の目は怒気を含んで手欄《てすり》からしばらくの間かの若者を見据えていた。若者は狂気のよ....
人外魔境」より 著者:小栗虫太郎
風とひっ組んだじぶんのあの労苦を、いま舌三寸で事もなげにいうこのペテン師と、彼は怒気あふれた目で、ぐいと相手をにらみ据《す》えた。 「君が、そんな魔法使いなら羽....
婦系図」より 著者:泉鏡花
太く逞き杖を支いて、ナポレオン帽子の庇深く、額に暗き皺を刻み、満面に燃るがごとき怒気を含んで、頂の方を仰ぎながら、靴音を沈めて、石段を攀じて、松の梢に隠れたのが....
雛妓」より 著者:岡本かの子
かった。 「いけません。いけません。それはあんまりですよ」 わたくしの声は少し怒気を帯びていた。 「ばか。おまえは、まだ、あのおやじのこころをほんとによく知っ....
人外魔境」より 著者:小栗虫太郎
ぶサンはケロッとして、 「あたし、なんだか忘れてしまったらしいよ」 「馬鹿っ」と怒気心頭に発した折竹ががんと一つ殴りつけ、 「なんのために……。君は、あの二人を....
世界怪談名作集」より 著者:岡本綺堂
なたは僕を馬鹿になさるのですか。そんな不運な実験だなどと……」と、ジョヴァンニは怒気を含んで叫んだ。 「まあ、君、待ちたまえ」と、執拗な教授は繰りかえして言った....
琵琶伝」より 著者:泉鏡花
な。」 お通は屹と面を上げつ、 「いいえ、出来さえすれば破ります。」 尉官は怒気心頭を衝きて烈火のごとく、 「何だ!」 とその言を再びせしめつ。お通は怯め....
黒百合」より 著者:泉鏡花
しない。」 「ええ!」 「僕の目が潰れたんだ。」 言いさま整然として坐り直る、怒気満面に溢れて男性の意気|熾に、また仰ぎ見ることが出来なかったのであろう、お雪....
桂馬の幻想」より 著者:坂口安吾
、娘は彼以上に目をみはって、 「ダメよ」 と大声で叫んだが、そこにはありふれた怒気があるばかりで、むしろ彼をホッとさせたのである。娘は彼の袴姿をジロジロ見て、....
生死卍巴」より 著者:国枝史郎
、云うので足を早めた。 しかし半町とは歩かない中に、京助は仰天して足を止めた。怒気に充ちた顔を夕日に赭らめ、膏汗の額をテラテラ光らせ、見得も外聞もないというよ....
幸福な家庭」より 著者:井上紅梅
行こうとすると、門の左の所には妻が立っていて、腰骨を真直ぐにして両手を腰に置き、怒気憤々としてさながら体操の操練でも始めそうな勢。 「あなたまでもわたしを馬鹿に....
前記天満焼」より 著者:国枝史郎
… 居間に寛いだ大塩中斎は、小間使の持って来た茶を喫し、何か黙然と考えている。怒気と憂色とが顔にあり、思い詰めたような格好である。 すると、その時襖の陰から....
名人地獄」より 著者:国枝史郎
胴の間口から七、八人の、海賊どもが飛び出して来た。と、その後ろから現われたのが、怒気を含んだ例の武士で、両手に握った太い丸太を、ピューッピューッと振り廻した。が....
二葉亭四迷の一生」より 著者:内田魯庵
うにかかわらず、この手紙がイライラした神経によっぽど触ったものと見えて平時にない怒気紛々たる返事を直ぐ寄越した。曰く、「平凡は平凡|也、それを強て非凡とおつしや....