思い做し[語句情報] » 思い做し

「思い做し〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す

思い做しの前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
幽霊塔」より 著者:黒岩涙香
るかも知れぬ。家では定めし叔父も秀子も気遣って、余の紛失を前のお浦の紛失と同様に思い做して居ようも知れぬと、先ず電信を認めて叔父に宛て、急用の為倫敦へ行くが用の....
渾沌未分」より 著者:岡本かの子
ばならない……小初は心づかれが一身に担い切れない思いがする。父は娘を神秘な童女に思い做して、自家|偶像崇拝慾を満足せしめたい旧家の家長本能を、貝原との問題に対し....
食魔」より 著者:岡本かの子
に遠巻きされながら、それに煩わされず、逃れて一人うとうとする束の間を楽しいものに思い做した。腹に満ちた咀嚼物は陽のあたためを受けて滋味は油のように溶け骨、肉を潤....
雛妓」より 著者:岡本かの子
さを語り得ないような内気な娘であった。生よりも死の床を幾倍か身に相応わしいものに思い做して、うれしそうに病み死んだ。 風は止んだ。多摩川の川づらには狭霧が立ち....
縮図」より 著者:徳田秋声
加世子たちの乗りこむのが見え、乗りこんでからも、窓から顔を出して軽く手を振った。思い做しか、涙をふいたようにも見えた。銀子も手を振った。 ホテルへ帰ると、均平....
仮装人物」より 著者:徳田秋声
珍らしくなかった。 町に薄暗い電気がつく時分に、宿へ帰って楽しい食卓に就いた。思い做しか庸三はここの玄関の出入りにも、何か重苦しいものをこくめいな番頭たちの目....
暗黒公使」より 著者:夢野久作
リした体格で、肩幅なぞは普通人の一倍半ぐらい有りそうに見える。しかもその顔は私の思い做しか知らないが、最前帝国ホテルの前で私に「馬鹿野郎」を浴びせた獰猛な人相の....
能とは何か」より 著者:夢野久作
して結局、神秘的存在となって行くように思うのは私が無学だからであろうか。それとも思い做しであろうか。 いずれにしても私は自分の無学と共に確信している。能は作っ....
別れたる妻に送る手紙」より 著者:近松秋江
を下りた時の心持は、吾れながら、自分の見下げ果てた状態が、歴々と眼に映るようで、思い做しばかりではない、女中の「左様なら! どうぞお近い内に!」という送り出す声....
空間概念の分析」より 著者:戸坂潤
亦自然であるであろう。そこで各々の領域は自己の持つ「空間の問題」を絶対的な形態と思い做し、之を他の領域に迄も強いようと試みる。物理学者は自分が対象とする空間を唯....
鴉片を喫む美少年」より 著者:国枝史郎
が宋思芳と、非常に顔が似ていたからであった。 すると支那美人も僕の顔を見たが、思い做しか表情を変え、驚きと懐しさを現わしたようであった。 しかしその儘歩み去....
茶屋知らず物語」より 著者:岡本かの子
格別のことも無い様子、話の具合では、どうやら茶屋の遊びという事を清僧らしく簡単に思い做して、何も知らずに試みに来た様子。主人四郎兵衛は一時は商売並みにこの坊さん....
ドーヴィル物語」より 著者:岡本かの子
まいか、電報で呼ぶ位の突飛な仕業は、彼女として別に珍らしがる程のことでも無いが、思い做しか昨日オンフルールで会った彼女は一層いつもより淋し気に見えた。何か最近、....
知々夫紀行」より 著者:幸田露伴
寒月子と顔見合わせて驚き、木曾路の贄川、ここの贄川、いずれ劣らぬ山里かな、思えば思い做しにや景色まで似たるところありなどと語らう。 贄川を立ち出でて猪の鼻を経....
デモクラシーの要素」より 著者:新渡戸稲造
が自由にあることは論を待たぬ、殊更いわずとも民主主義と自由論とは殆ど同一物の如く思い做して、甲を挙ぐれば乙はその中に含まれている如く認められていて、この事は議論....