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思い出したように
「思い出したように〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
思い出したようにの前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「偸盗」より 著者:芥川竜之介
の先を一文字に、向こうの板庇《いたびさし》の下へはいる。
太郎は、歩きながら、
思い出したように、はたはたと、黄紙《きがみ》の扇を使った。――
(そういう月日....
「邪宗門」より 著者:芥川竜之介
。それはまた珍しい教があるものじゃ。」
何か御考えに耽っていらしった若殿様は、
思い出したように、御盃を御挙げになると、その女房の方を御覧になって、
「摩利と申....
「影」より 著者:芥川竜之介
ライタアの音だけであった。
書類が一山片づいた後《のち》、陳《ちん》はふと何か
思い出したように、卓上電話の受話器を耳へ当てた。
「私《わたし》の家《うち》へか....
「湖南の扇」より 著者:芥川竜之介
、あれでも黄の生きていた時には中々幅を利かしていたもんだよ。………」
譚は何か
思い出したように少時《しばらく》口を噤《つぐ》んだまま、薄笑いばかり浮かべていた....
「毛利先生」より 著者:芥川竜之介
行って腰を下した。そうして、用を聞きに来た給仕に珈琲《コオヒイ》を云いつけると、
思い出したように葉巻を出して、何本となくマチを摺《す》った揚句《あげく》、やっと....
「妙な話」より 著者:芥川竜之介
枝子《ちえこ》から手紙が来たっけ。君にもよろしくと云う事だった。」
村上はふと
思い出したように、今は佐世保《させほ》に住んでいる妹の消息を話題にした。
「千枝....
「お律と子等と」より 著者:芥川竜之介
てお出でだったけれど。」
その噂が一段落着いた時、叔母は耳掻きの手をやめると、
思い出したようにこう云った。
「今、電報を打たせました。今日《きょう》中にゃまさ....
「西郷隆盛」より 著者:芥川竜之介
もない所へ陥れそうな予感が、この時ぼんやりながらしたからである。そこで本間さんは
思い出したように、白葡萄酒の杯をとりあげながら、わざと簡単に「西南《せいなん》戦....
「捨児」より 著者:芥川竜之介
かも知れません。」
客はちょいと口を噤《つぐ》むと、考え深そうな眼をしながら、
思い出したように茶を啜《すす》った。
「そうしてあなたが子でないと云う事は、――....
「将軍」より 著者:芥川竜之介
のだった。
旅団参謀は将軍に、ざっと事件の顛末《てんまつ》を話した。が、将軍は
思い出したように、時々|頷《うなず》いて見せるばかりだった。
「この上はもうぶん....
「運」より 著者:芥川竜之介
の石の間に、点々と白い色をこぼしている。
「冗談云っちゃいけない。」
青侍は、
思い出したように、頤《あご》のひげを抜き抜き、こう云った。
「それで、もうおしま....
「妖婆」より 著者:芥川竜之介
地に着いていないような心もちだった。」――新蔵はこう委細《いさい》を話し終ると、
思い出したように団扇《うちわ》を使いながら、心配そうに泰さんの顔を窺《うかが》い....
「或る女」より 著者:有島武郎
て来るといって、例の麦稈《むぎわら》帽子を帽子掛けから取って立ち上がった。葉子は
思い出したように肩越しに振り返って、
「あなたさっきパラソルは骨が五本のがいいと....
「飯田蛇笏」より 著者:芥川竜之介
これは僕の近作である。次手を以て甲斐の国にいる蛇笏君に献上したい。僕は又この頃
思い出したように時時句作を試みている。が、一度句作に遠ざかった祟りには忽ち苦吟に....
「母を尋ねて三千里」より 著者:アミーチスエドモンド・デ
といって泣き出しました。 女の人はしばらくだまって考えていましたが、やがて
思い出したように、 「ああ、そうそう、よいことがある、この町を右の方へゆくと、た....