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「思い切って〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す

思い切っての前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
偸盗」より 著者:芥川竜之介
おばばといっしょになるばかりじゃ。よし、ならば、おばばを妻《め》にしよう――こう思い切って、持ったのが、この猪熊《いのくま》の痩世帯《やせじょたい》じゃ。………....
疑惑」より 著者:芥川竜之介
ではなかったろうか、――こう云う疑惑でございました。私は勿論この疑惑の前に、何度思い切って「否《いな》、否。」と答えた事だかわかりません。が、本屋の店先で私の耳....
」より 著者:芥川竜之介
くら一生懸命に打ち消して見ても、だんだん強くなるばかりである。 房子はとうとう思い切って、怖《こ》わ怖《ご》わ後《うしろ》を振り返って見た。が、果して寝室の中....
二人小町」より 著者:芥川竜之介
を憎《にく》いと思っているのですか? 玉造の小町 お憎みなさい。お憎みなさい。思い切ってお憎みなさい。 使 (憂鬱《ゆううつ》に)ところが憎み切れないのです....
年末の一日」より 著者:芥川竜之介
前に片づいていた。 寝床の裾《すそ》の障子には竹の影もちらちら映っていた。僕は思い切って起き上り、一まず後架《こうか》へ小便をしに行った。近頃この位小便から水....
沼地」より 著者:芥川竜之介
――と云うと大袈裟《おおげさ》だが、実際そう云っても差支えないほど、この画だけは思い切って彩光の悪い片隅に、それも恐しく貧弱な縁《ふち》へはいって、忘れられたよ....
或日の大石内蔵助」より 著者:芥川竜之介
歴々と心中に浮んで来た。如何に彼は、この記憶の中に出没するあらゆる放埓の生活を、思い切って受用した事であろう。そうしてまた、如何に彼は、その放埓の生活の中に、復....
路上」より 著者:芥川竜之介
に湧いては来なかった。従って彼は世間に伍《ご》して、目まぐるしい生活の渦の中へ、思い切って飛びこむ事が出来なかった。袖手《しゅうしゅ》をして傍観す――それ以上に....
西郷隆盛」より 著者:芥川竜之介
ひがしやま》を眺めて、日を暮しているのは、気が咎《とが》める。本間さんはとうとう思い切って、雨が降るのに荷拵《にごしら》えが出来ると、俵屋《たわらや》の玄関から....
仙人」より 著者:芥川竜之介
御置きなさい。――さあ、左の手を放すのだよ。」 権助はその言葉が終らない内に、思い切って左手も放しました。何しろ木の上に登ったまま、両手とも放してしまったので....
妖婆」より 著者:芥川竜之介
差当ってそのほかに、目前の災難を切り抜ける妙案も思い当りませんから、明くる日の朝思い切って、「しょうちいたしました」と云う返事を泰さんに渡しました。ところがその....
惜みなく愛は奪う」より 著者:有島武郎
さぬ名詞はないと謂ってもいいだろう。私もまたこのアンティセシスの下にある。自分が思い切って一方を取れば、是非退けねばならない他の一方がある。ジェーナスの顔のよう....
霊界通信 小桜姫物語」より 著者:浅野和三郎
さまからも『折角であるから通信したがよい』との思召でございますので、今回いよいよ思い切ってお言葉に従うことにいたしました。私としてはせいぜい古い記憶を辿り、自分....
歯車」より 著者:芥川竜之介
た。が、戸をあけてはいることは妙に僕には無気味だった。僕はちょっとためらった後、思い切って部屋の中へはいって行った。それから鏡を見ないようにし、机の前の椅子に腰....
初雪」より 著者:秋田滋
ても据えつけさせてやる。あたしは厭ッてほど咳をしてやろう。そうすれば、良人だって思い切って煖房を据えつける気になるだろう」 彼女はそこで裸も同然な姿のまま椅子....