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「思い切り〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す

思い切りの前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
子供の病気」より 著者:芥川竜之介
だった。のみならず多加志が泣きやんだと思うと、今度は二つ年上の比呂志《ひろし》も思い切り、大声に泣き出したりした。 神経にさわることはそればかりではなかった。....
路上」より 著者:芥川竜之介
ら》さんへは僕の方から出かけて行くのか。」 野村は相手の眉《まゆ》の間にある、思い切りの悪い表情を見落さなかった。 「いや、向うからここへ来て貰おう。第一その....
将軍」より 著者:芥川竜之介
子《まんじごうし》を後に、芸者の写真へ目をやっていたが、参謀の声に驚かされると、思い切り大きい答をした。 「はい。」 「お前だな、こいつらを掴《つか》まえたのは....
私の父と母」より 著者:有島武郎
からは、その感化によって浄土真宗に入って信仰が定まると、外貌が一変して我意のない思い切りのいい、平静な生活を始めるようになった。そして癲癇《てんかん》のような烈....
碁石を呑んだ八っちゃん」より 著者:有島武郎
「八っちゃんがどうかしたの」 僕は一生懸命|真面目になって、 「うん」 と思い切り頭を前の方にこくりとやった。 「うん……八っちゃんがこうやって……病気に....
地球盗難」より 著者:海野十三
浴せかけられようとしたその部屋――つまり「第一実験室」であった。 そこで彼は、思い切り勇気を出して、廊下に積んであった空函を戸口に重ねると、扉の上の廻転窓の中....
二十五年間の文人の社会的地位の進歩」より 著者:内田魯庵
を儚なみて浮世を観ずるような身構えをしておる。同じデカダンでも何処かサッパリした思い切りのいゝ精進潔斎的、忠君愛国的デカダンである。国民的の長所は爰であろうが短....
二、〇〇〇年戦争」より 著者:海野十三
、当惑の色をうかべたが、やがて、思い切ったという風に、 「では、やむを得ません。思い切りまして、一つだけ、申上げたいことがあります。しかし、大総督閣下は、とても....
火薬船」より 著者:海野十三
っているズボンを、ひきさいた。 「竹、おれのバンドをといて、右脚のつけ根を、お、思い切り、ぎゅっと縛ってくれ。早く、早くたのむ」 ハルクは、歯をくいしばりつつ....
太平洋魔城」より 著者:海野十三
識がいるので、とてもこの三人ではもって行けない。 そこで、恐竜型潜水艦のことは思い切り、そのかわり水中快速艇をうばって逃げることにした。これなら、このまえケレ....
唄立山心中一曲」より 著者:泉鏡花
んなはかないなりをくらべて、思う方の前に出るのは死ぬよりも辛うござんす。それさえ思い切りました。男のために死ぬのです。冥加に余って勿体ない。……ただ心がかりなは....
湯女の魂」より 著者:泉鏡花
ともいわず、びしびしと打ちのめして、 (さあどうだ、お前、男を思い切るか、それを思い切りさえすれば復る病気じゃないか、どうだ、さあこれでも言う事を聞かないか、薬....
阿Q正伝」より 著者:井上紅梅
に幾文か残ったが、彼はもう帽子を請け出そうとも思わず、あるだけのものは皆酒にして思い切りよく飲んでしまった。 一方趙家では、蝋燭も線香もつかわずに、大奥さんが....
端午節」より 著者:井上紅梅
しれん、とにかく蟇口の中に残っているのはわずかに六十銭。実はそれを捨てかねたから思い切りよく遠のいたのだ。彼が顔色を変えると、方太太は彼女の無教育を怒ったのかと....
私の履歴書」より 著者:井上貞治郎
いものはなかった。そのころ私はよくひまがあれば横浜の波止場へいった。棧橋に立って思い切り深呼吸をし、巨大な外国船の姿やかもめの飛びかう紺ぺきの遠い海をながめなが....