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思い描く
「思い描く〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
思い描くの前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「いのちの初夜」より 著者:北条民雄
をしている自分の姿を思い描き、汽車電車を見るとその下で悲惨な死を遂げている自分を
思い描くようになっていた。けれどこういう風に日夜死を考え、それがひどくなって行け....
「石狩川」より 著者:本庄陸男
というか――」
はなし手はちょっと眼をつぶるようにして見て来たサッポロの地形を
思い描くのであった。それは説明するまでもない明白な地形であると思うのだ。だから彼....
「二つの庭」より 著者:宮本百合子
銭に関して鷹揚とも思えない風※《ふうぼう》の越智。それらと結び合わされた母の姿を
思い描くと、そこに女としての生活の発展などということは、みじんも考えられなかった....
「異性の友情」より 著者:宮本百合子
一 異性との間の友情の可能やその美しさなどについてより多くさまざまに
思い描くのが常に女性であるということについて、私たちはどう考えたらいいのだろうか....
「若い母親」より 著者:宮本百合子
、周囲の者がそれぞれの心で考えられるいろいろさまざまの社会生活の可能、ひろがりを
思い描くから、変につかみどころなくむずかしくなって来る。 女の赤ちゃん、と思っ....
「人間の結婚」より 著者:宮本百合子
いたけれども、最近の数年間の荒っぽい現実は、そういう主観的な角度から恋愛や結婚を
思い描く甘さを青春の精神から奪ってしまった。今日の真面目な心は、その若さにもかか....
「遠野へ」より 著者:水野葉舟
たけれど、眠ることもできない。ただじっとからだを据えたまま、心でいろいろのことを
思い描く。私は四年ぶりで逢った従妹の顔を思い出していた。子供の時分にはほとんど一....
「菜穂子」より 著者:堀辰雄
いる?」ときどき何物かの声が彼に囁《ささや》いた。 この間、彼がもう二度と胸に
思い描くまいと心に誓っていた菜穂子にはからずも町なかで出逢ったときの事は、誰にと....
「獄中への手紙」より 著者:宮本百合子
いと思っているから。反対に、位置をかえた互の姿において想像すると、やっぱり平静に
思い描くことは出来ない。どんなに私はあらゆる種類の薬をかたむけて、あなたに注ごう....
「風と光と二十の私と」より 著者:坂口安吾
と考え耽っていたのである。 私は高貴な女先生の顔はもうその輪郭すらも全く忘れて
思い描くよしもないが、この三人の少女の顔は今も生々しく記憶している。石津はオモチ....
「青鬼の褌を洗う女」より 著者:坂口安吾
ろう? 私が久須美をだましたというだろうか。恋に盲いた年寄のあさましい執念狂気を
思い描くことだろう。 私はしかしそんなことはなんとも思っていない。息子や娘にと....
「明治開化 安吾捕物」より 著者:坂口安吾
そこから曰くありげな何かが考えられるであろうか。こう考えて多くの場合をタンネンに
思い描くと、曰く有りげなものが確かに在って次第に鮮明に浮かびでるのが分ってきまし....
「明日は天気になれ」より 著者:坂口安吾
食慾の快味などをなつかしむことも強いのだ。ザルソバやラーメンには、そういう快感は
思い描くことができない。 豊富な量と旺盛な食慾。それは私が少年期すぎて失ってし....
「城」より 著者:カフカフランツ
貧しくて、疲れ切って、老いぼれてしまった父がつぶやくことを聞いて、事の全体の姿を
思い描くことがいったいできるものでしょうか。役人たちはとても教養があるのですが、....
「「その人を知らず」について」より 著者:三好十郎
のようにも思えるし、何か恐ろしく異様な、狂人じみた男のようにも思える。ハッキリと
思い描くことは出来ない。空襲最中の一瞬後には自分が粉みじんになるかもしれないと思....